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「一応修復は終わった。接着まで少し時間を置いて白粉をかけるが、他に何処か欠けているところは無いか？ 違和感はあるか？」
薄荷色の新入りを直した彼は、患者の顔色を伺いながら、決まった台詞を淡々と述べた。「ない」そう言ったここに訪れた患者が何時ものように笑っていう返答を、新人は肩を竦めながら返すと、感謝を伝えてから、ごめんなさい、と謝罪を繰り返した。感謝と同等に仲間からの謝罪から慣れたアクロアイトは、「謝るのは後にしろ」と、若輩者を正す為に叱る、先輩らしい謳い文句を付けた。
そのようなアクロアイトの正しさを彼の仲間たちは、陰ながら敬愛していることを、当の彼自身は知らない。
「さぁ次はシンシャだ。罅の入った方の腕を見せろ」
そう言われたにも関わらず、フォスフォフィライトが腰を預ける、白いシーツの広がった寝台に一歩たりとも近付こうとしない。自分の毒性が新人を傷付ける事を懸念しているのか、はたまた、先程の負わなくてもいい責任を、未だ背にしているのか。感受性に置いて不器用なアクロアイトには微妙にその本意は、理解できないようだった。
ただ、とりあえずの事、寝台に座らせていた新人には席を譲らせ、世話焼きにも、再び赤い同胞の手を取ると、先程、自らが下した指示通りに誘導した。
「今回の戦闘では意図しずに水銀が溢れたりしなかったようだが、制御は順調かな」作業一巡の工程をなぞりながら、美貌の老輩は、相手の顔を見ずに問うた。それを縁側で夢の中に片足を踏み入れている新人はぼんやりと聞いている。質問の当事者は、暫くの沈黙を差し出してから「ああ」と、なんの装飾もない返事をした。「そうか、それはいい。ここ数年、新職が決まったと言うのに並ぶ、良い知らせだ」ただ、その表情に笑みは浮かんでこない。それが、彼の顔を伺うシンシャの心を掻き回していた。
「仕事はどうだ、楽しいか、寂しくはないか」
「ああ、昨日だけで六人も訪ねて来た。最近は、仕事の話以外にも世間話をするようにもなった。……只その、お、お前があんまり来てくれない、と、少しは寂しい気も…しないでもない…」
もじもじと、深い赤色が踊る指先を絡ませ、赤面で俯くシンシャを治療を終えたがてらに見やって、彼は優しく目を細めると、「すまなかった」と。
「そう言うのも、かなり勇気がいるだろう、鈍感が災いして、手間を掛けさせたな」と、黒い布にも白い布にも覆われぬ、生身の手で赤い髪を撫で下ろした。
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ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» お久しぶりです！後半読んでくださったんですね…！文字数が多めなのでなかなか読み進めづらいのではないかと不安でしたが、とても安心しました…！数々の勿体ないお言葉ありがとうございます！今後の制作の上、とても励みになります！！ (2020年9月28日 19時) (
レス) id: 17ce48cdec (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 恩着せがましかもしれませんが、実は私も個人的に、夢小説を投稿している身で、この小説を読み、語彙欲は必ず要ると再確認出来ました。尊敬します。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。後半の話を読みました。シンシャが嫉妬したり、夢主を心配する場面や感情の葛藤が丁寧に書かれていて凄いと重いました。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» 作品をお読み頂きありがとうございます！ 主人公の関係性などの設定にはかなり拘って制作しておりますので、その点に注目していただけたこと、とても嬉しく思います！ これからも少しずつにはなりますが、更新して行きますので、応援のほどよろしくお願い致します！！ (2020年8月26日 9時) (レス) id: 2ac34ed691 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ワッさん＋aさんの夢小説作品を読みました。夢主のキャラ設定が、すごく凝っていますね。元パートーとの関係性が好みでした。 (2020年8月26日 8時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん | 作成日時：2019年1月8日 6時
