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「それはまぁ、悪くは無い話なんだけどさ、ほら、君の仕事って見回りって言ってもずぅっとそこに座ってるだけじゃない？ あとは、ルチルの手伝いとか…いや、むりむりむり、本職は今の僕と何にも変わらないし、副職は、不器用な僕には全く任せてもらえないよ。前なんてモルガの手脚逆に付けちゃったし…」
光沢のある瞳を俯かせると、フォスフォフィライトは新芽のような後頭部を無作法に撫で回した。
「無理じゃないさ。僕も宝石の加工法と治療法を覚えたのはここ五百年ほど前だから、毎日少しずつでも練習していけば出来るようになる。それと、僕は経験の多い年寄りだから勝手にビビられて狙われないだけで、人気者の君が現れたとなれば、すぐさま襲ってくるだろうよ。そしたら、絶対に退屈しない」
一案として述べたあと、微妙に眉を顰めた新人は「いやそれはそれで…」と肩を竦めて口ごもった。こうやって、時々彼を襲う自己嫌悪は、彼の精神の生命を急速に削り取っている。浅瀬の様な滑らかな光は濁り、行動は粗雑に。それが、彼の一生を蹂躙する、一種の呪いであった。
『呪い』という言葉も、白黄色の彼からの受け売りである。僕達の前世と呼ぶべき生物達が、晴天、或いは雨天、はたまた欲の行き過ぎたあまり、他人を貶めるためと言った、一貫の祈りの儀式などによって成立するものだそうだ。それを聞いた後に、心許ない知識量の持ち主である僕は「儀式ってなんだい？」と首をかしげたのだが、「そうだね、具体的にはどんなことをするんだろう」と言われたっきり、永遠に答えを聞く機会を失ってしまった。多分、僕にかかった呪いの儀式に当たるものは、彼が消えてしまった事なのだろう。彼が弱い僕の目の前から居なくなってしまってから、呪いは、汚泥のようにしつこくまとわりついてくる。
「何にしろ、無いよりはいい仕事だ。暇つぶし程度とでも考えていれば、そのうちふっと世紀の大発見でもしてるだろうさ」
「いや、それがさぁ、中々どうやって大発見出来るのか悩んでおりまして…。アクロなら知ってるんじゃないかなぁと」
「知らないな」キッパリと言い放った。「えぇ！？そんなぁ、残るはアクロだけが頼みなのに…」と、フォスフォフィライト。というのは、事実、珍しい植物や新種の動物といったものには、全くもって知識を持ち合わせていなかったからである。それに、偶には助言通りに、やわい鞭でも一発打ってやろうと思った次第だった。
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ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» お久しぶりです！後半読んでくださったんですね…！文字数が多めなのでなかなか読み進めづらいのではないかと不安でしたが、とても安心しました…！数々の勿体ないお言葉ありがとうございます！今後の制作の上、とても励みになります！！ (2020年9月28日 19時) (
レス) id: 17ce48cdec (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 恩着せがましかもしれませんが、実は私も個人的に、夢小説を投稿している身で、この小説を読み、語彙欲は必ず要ると再確認出来ました。尊敬します。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。後半の話を読みました。シンシャが嫉妬したり、夢主を心配する場面や感情の葛藤が丁寧に書かれていて凄いと重いました。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» 作品をお読み頂きありがとうございます！ 主人公の関係性などの設定にはかなり拘って制作しておりますので、その点に注目していただけたこと、とても嬉しく思います！ これからも少しずつにはなりますが、更新して行きますので、応援のほどよろしくお願い致します！！ (2020年8月26日 9時) (レス) id: 2ac34ed691 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ワッさん＋aさんの夢小説作品を読みました。夢主のキャラ設定が、すごく凝っていますね。元パートーとの関係性が好みでした。 (2020年8月26日 8時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん | 作成日時：2019年1月8日 6時
