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蒼白な顔で彼は僕に問う。
「本当ですか……？ 戦ったって…＿＿＿」
眉は八の字で、目は大きく開いたどうにも表現しがたい表情で、審議するようにこちらを凝視している白衣の彼。その彼がこう言うのも無理はない。僕は何百年と月人と戦っていないし、剣を抜いたこともない。しかし彼にとってはそこまで戦闘を行っていなかった僕が、たった一人で月人に勝利したということよりも、戦闘を行ったこと自体に驚いているようだった。
「あ、ああ……そうだな、ちょいと手こずったが、まぁどうって事ないさ。心配しないでくれ」
「違う！ そういうことではないんですよ！」と、ルチルは輝かしい瞳で言い放った。それはもう、心底嬉しそうにだ。まるで砕けた新人のことなどそっちのけで。僕は少しだけ苦笑して、ちょっと冗談じみた表情を作ってみせると、こう言った。
「そんなことはどうだっていいんだ。フォスフォフィライトが突然の襲撃で撃たれた。今の僕の腕の状態じゃあ不安なんで、ちょっと診察してくれないか？」
そう言うと、疑問げな表情で、まだヒビが完全に塞がっていないフォスフォフィライトの頬や、腕に触れて診察を始めるルチル。どうやら、異常は見当たらないようで、「”相変わらず”の修復加減ですよ」と、グッドサインを送られた。
「腕の状態がどうとか言ってましたが、まさか…、
そう身を乗り出して訊いているルチルの表情は驚嘆のあまり歪んでいる。そんなにも驚くことなのだろうか。そう思って、修復作業を終えたばかりの左腕を見やる。傷口のヒビからは、夕暮れの沈みかけた太陽の光の反射光が漏れている。
「ほ、ほんとうに怪我を？ …貴方が？」
「まぁ、そうだが、別に大したことは無い」
「ちょっと、看せて下さい。もう片方の腕で作業をしたのでしょうが、何せ貴方、自分自身の躰は一度も治したことがありませんからね。それに、あのアクロアイトがどのようにして怪我を負ったのやら…」
「…構わないが」
僕の言葉を確認すると、彼は僕の腕の真ん中辺りに触れる。ちょうど、月人の矢が当たり、割れた部分だ。自分が見たところは特に異常は見られなかったのだが…。
滑るように観ているルチルが、呟くように言った。
「…なるほど、矢に撃たれましたね。
貴方が、矢に気づかないなんてことは有り得ないのは確実です。なんせ、敵無しの”あの”、アクロアイトですから＿＿＿＿」
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ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» お久しぶりです！後半読んでくださったんですね…！文字数が多めなのでなかなか読み進めづらいのではないかと不安でしたが、とても安心しました…！数々の勿体ないお言葉ありがとうございます！今後の制作の上、とても励みになります！！ (2020年9月28日 19時) (
レス) id: 17ce48cdec (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 恩着せがましかもしれませんが、実は私も個人的に、夢小説を投稿している身で、この小説を読み、語彙欲は必ず要ると再確認出来ました。尊敬します。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。後半の話を読みました。シンシャが嫉妬したり、夢主を心配する場面や感情の葛藤が丁寧に書かれていて凄いと重いました。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» 作品をお読み頂きありがとうございます！ 主人公の関係性などの設定にはかなり拘って制作しておりますので、その点に注目していただけたこと、とても嬉しく思います！ これからも少しずつにはなりますが、更新して行きますので、応援のほどよろしくお願い致します！！ (2020年8月26日 9時) (レス) id: 2ac34ed691 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ワッさん＋aさんの夢小説作品を読みました。夢主のキャラ設定が、すごく凝っていますね。元パートーとの関係性が好みでした。 (2020年8月26日 8時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん | 作成日時：2019年1月8日 6時
