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今まで何度探しても会えなかったアクロアイトを薄荷色の新入りが過去に彼を目にしたのは、生まれて直ぐの、本当にごく一瞬だけだった。
フォスフォフィライトという新人を迎えるため、そして、新人に先輩である宝石たちの顔を覚えてもらうために金剛が軽い歓迎会のようなものを開いたのだった。その日の天気はとても晴れ晴れとしていて、校舎に差し込む優しい光が、集まった宝石たち特有の輝きを引き立てていた。それは、多くの富を持っていてしても見られるかどうか分からない光景で、それぞれの光のコントラストの美しさには誰もが息を呑むことだろう。
その豪勢な花々の片隅に
ぽつりと”彼”は立って居た。
決して目立つことも無くそして、特別地味なわけでもなく、ただ、ひっそりと透明な髪を七色に輝かせ、心底嬉しそうに、だけれど儚げに微笑んでいた。それはそれは、とても魅力的で、反射する光は、全ての宝石を一つに詰め込んだように、鮮やかで、フォスフォフィライトの視線を一瞬にして奪った。
「なんて綺麗なやつなんだろう」「あんなにも美しいやつが僕の仲間なのか」当時、言葉を話せなかった彼が感じた感動を表すのなら、きっとこう言った類のものだろう。何よりも、新入生に対しての心底嬉しそうな表情とは裏腹に、その瞳の奥に潜んだ、何かに苦しんでいるような悲しさと、脆さと、子供のような純粋さが彼の心を引き付けた。
幼いながら、フォスフォフィライトは気づいていたのかもしれない。彼の、”アクロアイト”が引きずり続けている、過去からくる複雑な悲しみに。
他の先輩達からの自己紹介が終わり、最後の最後で新人の視線を釘付けにしていた彼が口を開いた。澄み切った、中性的で少年がソプラノを奏でるような声が、幼子の顔を輝かせる。
「僕は”アクロアイト”。フォスフォフィライト。君が仲間に入ってくれて嬉しい…。新人なんだ、遠慮なく先輩達を頼れよ」
他の宝石達は皆ニッコリと微笑んで、アクロアイトの声に賛同するようにうなづいた。
建物の柱と柱の間から、穏やかな風が吹き、皆の鮮やかな髪を揺らした。薄荷色の視線の先の透明な髪は風で撓み、あらゆる角度の光から、虹色の光を輝かせ、一層色相を広げた。
この何気もない、10年前の記憶を新人は二度と忘れないだろう。
生まれて初めて、何かに魅入られた瞬間だった。あの、儚くて、悲しくて、純粋な美しさに。そして、その意識は根のように彼の頭の片隅に居座っており離れることは無い＿＿
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ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» お久しぶりです！後半読んでくださったんですね…！文字数が多めなのでなかなか読み進めづらいのではないかと不安でしたが、とても安心しました…！数々の勿体ないお言葉ありがとうございます！今後の制作の上、とても励みになります！！ (2020年9月28日 19時) (
レス) id: 17ce48cdec (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 恩着せがましかもしれませんが、実は私も個人的に、夢小説を投稿している身で、この小説を読み、語彙欲は必ず要ると再確認出来ました。尊敬します。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。後半の話を読みました。シンシャが嫉妬したり、夢主を心配する場面や感情の葛藤が丁寧に書かれていて凄いと重いました。 (2020年9月28日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - ベルモットさん» 作品をお読み頂きありがとうございます！ 主人公の関係性などの設定にはかなり拘って制作しておりますので、その点に注目していただけたこと、とても嬉しく思います！ これからも少しずつにはなりますが、更新して行きますので、応援のほどよろしくお願い致します！！ (2020年8月26日 9時) (レス) id: 2ac34ed691 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - ワッさん＋aさんの夢小説作品を読みました。夢主のキャラ設定が、すごく凝っていますね。元パートーとの関係性が好みでした。 (2020年8月26日 8時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん | 作成日時：2019年1月8日 6時
