白々の少女 3 ページ9
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「──此の家に居ろ」
全く意味不明だという様子で女はきょとんと中原を見詰めた。表情がカチリと凍り付いた様だった。其れと同様に中原も自分の言い放った言葉を理解してはいなかった。暗がりで整った一部屋に奇妙な沈黙が落ちる。
「何故、そんな成り行きに…? 私が"其れ"を呑んでも、貴方がたにとって全くの無利益です」
「……俺の個人的な単独行動だ。首領の命令じゃねェ。組織の利益も無ェ」
質問に答えない中原を女は、低い位置からじっと見上げた。様子を伺う仕草である。中原は女の疑い深い視線にビクともせず、ただ、奥深く濁った曖昧な瞳で見つめ返すばかりだ。
其れでも、女は微かに、あくまで穏やかに、ひっそりと微笑んだ。
だが──
「…どうせ、拒否権は無いのでしょ」
だが──何処か、悲しげな瞳と見えるのは、気のせいで有ろうか。
女はゆっくりと起き上がり、佇む中原と同等の視線で寝台に座った。視線を並べてみて見れば、其の顔は純粋な少女を思わせる童顔で、傍また、絵に描いた様な端麗さだった。そして純白で、全くの混ざり気の無い白い頭髪が一本一本芯を持ち、サラサラと小さい肩から流れ落ちて行く。其の一瞬の光景が、妬けにゆっくりと過ぎ、瞳の奥に焼き付くのだ。
「判った、貴方の云った通りこの家に移居しましょう───」
こうして、中原と『伊藤計劃』であった女の、どうにも奇妙な関係が成立してしまったのである。中原からの条件は二つ、絶対に此の家の外には出ない事。そして、必要な物は自身に申し付ける事。当の女は中原の条件を了承した上で、何も条件も、応答以外の何かを話すことは無かった。
之は、列記とした監 禁である。
外の空気を吸う事、歩く事、買い物をする事、それ以上の自由を其の二文字の言葉で奪った。決して、彼女からも世間からも許される事では無い。自由を制限する其れを、誰も許しはしないだろう。増してや、誰もこの事に気付きやしない。
例え、彼女を発見した人間が居たとしても、誰も女が此処につなぎ止められている事を、思える術が無い。
何故なら──
女は不思議な程に、
此の自由の無い生活に馴染んだからである。
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ワッさん＋a(プロフ) - あひゃこさん» いえいえ！まさか紹介して頂けるなんて夢にも思いませんでしたから！こちらこそ、ずっと応援してます！ (2018年6月12日 19時) (
レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - ワッさん＋aさん» 承諾頂きありがとうございます こちらこそ、このような素敵な作品を私の作品で紹介できて大変嬉しいです^^* 私の新作である 生前手記 という作品に載せさせて頂きました これからも応援しています (2018年6月12日 18時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん＋a(プロフ) - あひゃこさん» おおおわっ！良いのですかっそんなっ！有難うございますっ！いや、迷惑だなんてちっともっ！寧ろ光栄と言うか、願ってもないお話です！是非此方からもお願い致しますっ！！ (2018年6月12日 18時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - ワッさん＋aさん» そうなのですね こちらこそいつも閲覧頂きありがとうございます ご迷惑でなければ、是非この作品を沢山の方々に閲覧してほしいという私の思いがありまして… 作者様さえよろしければ、是非私の作品でこの作品を紹介させて頂きたいです(><) (2018年6月12日 8時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん＋a(プロフ) - あひゃこさん» 励みになるコメントを有難うございます！細やかで僕も特に気を使っている部分に目をつけて頂いて嬉しい限りです！之はご期待に答えて更新せねばっ！それと、僕もあひゃこさんの作品は愛読させて頂いて居ります！！素敵な作品が多く、何時も目を見張るばかりです！ (2018年6月11日 17時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワッさん＋a | 作成日時：2018年5月27日 21時
