小説家、計劃 3 ページ5
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森は、今にでも小躍りしそうな表情で、分厚い紙束を見詰めて云った。
「お近付きの御挨拶に届いたのが、現在敵対している組織のあらゆる情報が満載してある紙束でね。銃火器の保持数、効率的な潜入経路迄、喉から手が出る程欲しい情報が並んでいた。
試しに、この情報を使って敵対組織を遊撃隊の一部で叩いてみたら、意図も簡単に攻略出来た。勿論、並のハッカァや、情報提供者じゃあ、先ずこんな芸当は不可能だ。流石の私も之には驚かざる負えなかった」
話の筋は、既に見えて来ていた。
「そして、もう一つ…」
───招待状が同封してあった。
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そうして、完全な切っ掛けが出来た。
もし、首領が『伊藤計劃』に興味を持たなければ、此の一件に中原中也が関わらなければ、或いは…"そうはならなかった"のかも知れない。
何故、此の任務に中原が指定される事と成ったのか、其れは同封された招待状に寄るものだった。
一つは、ポートマフィアが首領が信用しうる人材を向かわせる事だ。そしてもう一つは、経った一人で来る事。其の二つだけで、他の幹部が出ても差程変わりはしなかったが、念の為にポートマフィアの切札でもある中原を客に立てることにした。だが、車で進めば進む程、民家は減り、人気のない雰囲気だけが漂っていた。
そして───滔々民家は一つと無くなったが、その代わりに、外装が白い家が見えた。此処らに建つにしては、中々新しい建物で、形状は、倉庫のように箱型である。其の変わった造りに目を見張りながらも車を停め、入口を探す。云えど、入口は直ぐに見つかり、ドアノブに手を掛けようとした所、触れる前に開いた。
中からは小説家らしいとは云い切れない様な、黒服の男が出た。本人かどうかは直ぐに見分けがつく。抑々、小説家がこんなにも鍛えた身体で居る訳が無いのだ。男は中原を黒眼鏡を通して確認すると、徐に、廊下の奥へと歩き出した。其の後を中原が追う。
家の中は、日本人らしからずの土足で、暗い廊下の冷たさを足で感じないのを些か不思議に思った。床、壁、油画、そして使われていない天井の照明へと目を遣る。使われた形跡も無いにも関わらず、其の全ては、手入れの行き届いたものだった。廊下の壁には幾つもの扉が付いていたが、男の足は其れを見向きもせず、奥へ向かう。
そして、
底が薄らと見える階段を降りて行った。
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ワッさん+a(プロフ) - あひゃこさん» いえいえ!まさか紹介して頂けるなんて夢にも思いませんでしたから!こちらこそ、ずっと応援してます! (2018年6月12日 19時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - ワッさん+aさん» 承諾頂きありがとうございます こちらこそ、このような素敵な作品を私の作品で紹介できて大変嬉しいです^^* 私の新作である 生前手記 という作品に載せさせて頂きました これからも応援しています (2018年6月12日 18時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - あひゃこさん» おおおわっ!良いのですかっそんなっ!有難うございますっ!いや、迷惑だなんてちっともっ!寧ろ光栄と言うか、願ってもないお話です!是非此方からもお願い致しますっ!! (2018年6月12日 18時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - ワッさん+aさん» そうなのですね こちらこそいつも閲覧頂きありがとうございます ご迷惑でなければ、是非この作品を沢山の方々に閲覧してほしいという私の思いがありまして… 作者様さえよろしければ、是非私の作品でこの作品を紹介させて頂きたいです(><) (2018年6月12日 8時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - あひゃこさん» 励みになるコメントを有難うございます!細やかで僕も特に気を使っている部分に目をつけて頂いて嬉しい限りです!之はご期待に答えて更新せねばっ!それと、僕もあひゃこさんの作品は愛読させて頂いて居ります!!素敵な作品が多く、何時も目を見張るばかりです! (2018年6月11日 17時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ワッさん+a | 作成日時:2018年5月27日 21時