序章─── ページ2
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汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる
汚れっちまった悲しみは………
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───昼と夕方の中途半端な時間だった。
照明の消された暗い一部屋に、一人の女が眠っている。白い肌と同等の白い頭髪を持った睫毛迄も白い女だ。頭の天辺から、裸足の爪先まで真っ白。其の、ろくに食事もしていない様な細々とした身体は、己が寝台に沈んで、死体のように動かない。ただ、息を吸って吐いている肺の動きと同様に規則正しく上下して居る。
俺は其の姿を、仕事用の服の儘、見詰めていた。寝台のシーツに広がった髪を何本か掬い上げるが、当の女はピクリとも動かず、丸く縮こまった姿で眠り込んでいた。そして数刻、彼女の顔を拝み続けてから、起こさない様、成る可く音を立てずに去る。あぁ、今日も変わらずの毎日で良かったと、心底安心した。
そう云えば、こうして、仕事の合間に彼女の所在を確認する様に成ってから何日目だっただろうか──
未だ、恐らく一ヶ月にも満たない数字だろう。
もうそれ程、あの女は、今や生活の中心と成り果てたと思われるのだが、何時か逃げられるのでは無いかと、彼奴に取って見て"有り得もしない可能性"に怯え続けている。ただ、誰も居ない部屋へ帰るのが何処か怖く、何処か怯えて、必ず彼の女の居る家へと帰る。其れが普通に『成ってしまった』。
そうやって又、考えるだけにして
鍵を掛けずに出た家を後にする。
彼女が、また笑顔で出迎えて呉れる事を
心の底から期待して…───
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ワッさん+a(プロフ) - あひゃこさん» いえいえ!まさか紹介して頂けるなんて夢にも思いませんでしたから!こちらこそ、ずっと応援してます! (2018年6月12日 19時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - ワッさん+aさん» 承諾頂きありがとうございます こちらこそ、このような素敵な作品を私の作品で紹介できて大変嬉しいです^^* 私の新作である 生前手記 という作品に載せさせて頂きました これからも応援しています (2018年6月12日 18時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - あひゃこさん» おおおわっ!良いのですかっそんなっ!有難うございますっ!いや、迷惑だなんてちっともっ!寧ろ光栄と言うか、願ってもないお話です!是非此方からもお願い致しますっ!! (2018年6月12日 18時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
あひゃこ(プロフ) - ワッさん+aさん» そうなのですね こちらこそいつも閲覧頂きありがとうございます ご迷惑でなければ、是非この作品を沢山の方々に閲覧してほしいという私の思いがありまして… 作者様さえよろしければ、是非私の作品でこの作品を紹介させて頂きたいです(><) (2018年6月12日 8時) (レス) id: 782bc5610f (このIDを非表示/違反報告)
ワッさん+a(プロフ) - あひゃこさん» 励みになるコメントを有難うございます!細やかで僕も特に気を使っている部分に目をつけて頂いて嬉しい限りです!之はご期待に答えて更新せねばっ!それと、僕もあひゃこさんの作品は愛読させて頂いて居ります!!素敵な作品が多く、何時も目を見張るばかりです! (2018年6月11日 17時) (レス) id: 0cdcac71cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ワッさん+a | 作成日時:2018年5月27日 21時