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ある暑い夏の日の放課後、校庭からは男子たちが部活関係なく野球をして遊んでいる声が届いてくる。図書室で本を探していて下校が他の人より遅れた私は、日差しを避けるように影を選びながら校門へと向かっていた。
「よっしゃー!ヒット!」
「なあバッター誰もいなくなったぞ」
「次高谷だったろ、どこ行ったんだよ」
「あいつ塾あるからってさっき帰った!誰か代打連れてこい!」
「それなら適任呼んでくるから待っといて!」
さっきまでバッターボックスに立っていた人がヒットを打って出塁した場面。何やら攻撃陣が慌て出し、そんなことを大きな声で話しながら校内へと走っていくのが見えた。
ふと足を止めて日陰からその様子を眺めていると代打を呼びに行った男子たちがひとりの男性教師を連れて帰ってくる。
「コバセン代打っすかー?」
「野球やってたんですよね!」
「チャンスなんすよ、頼みます!」
言われるがままにグラウンドに引っ張られてきたのは遠目からでも分かる、社会科の小林誠司先生だ。その爽やかな風貌で女子生徒からの人気も高い彼の授業を受けたことがあるが、教え方は丁寧だし分からない所は一人一人に細かく説明してくれる。
先生の打席が終わったら帰ろう。肩にかけた通学かばんの持ち手をぎゅっと握り締めながら、男子にバットを渡されてバッターボックスに立つ彼を見つめた。先生はワイシャツのボタンの上1つを外し、前髪をかき上げる。
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てまり(プロフ) - コバさん» はじめまして!そう言って頂けて嬉しいです☺️ ありがとうございます! (3月21日 23時) (レス) id: d524f429ae (このIDを非表示/違反報告)
コバ - はじめまして!青春って感じがして読むのがワクワクします🤤 (3月20日 0時) (レス) id: e88cbb1189 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てまり | 作成日時:2024年3月19日 21時