第八話 ページ8
『正直、自分の名前も自信ないです…。確証はないので…コナンくんには自力で思い出したよ!って言いましたけどね!』
「ホォー…」
『私の今の状況としては、一般常識は忘れていません。思い出だけが全て消えてる状態です。その中で、名前らしきものをひとつずつ挙げていって馴染みやすかったものを名乗りました』
「では、本当は違う可能性もあるということですか?」
『その通りです』
完全なる嘘だ。
私は確かにAAだ。ただこの先、絶対戸籍がないという事態に陥る。そうなった時、この発言は筋が通る。
「Aさんの場合だと、記憶が戻るのに時間がかかるでしょう…」
『…な、なんでですか?』
「常識はあるということは、思い出は知り合いとの接触で戻ることが多いと思われます。ここが地元でない場合、難しいかと思われます」
この人の言っていることは、一理ある。
コナンの世界のことはある程度思い出した。
他の登場人物と会っていけば、さらに細かな事件の内容なども思い出せるだろう。
しかし、自分のことは自分の荷物からゲットした情報以外はまだ何も掴めていない。
警察官だったのも、実感がわかなくて困ってる。
「…大丈夫ですよ。記憶を取り戻すまで、気長に居てもらって構わないですから」
『すみません、ありがとうございます…』
「今日はお疲れでしょうから、お風呂でも浸かって、早くお休みになれた方がいいでしょう」
案内された客室のベットに寝転がると、今日は流石に寝れないかな?と思っていたが、ふかふかのベットの寝心地が良くて、すぐにでも寝てしまいそうだった。
私は寝る前に状況の整理と明日からの作戦をたてた。
とりあえず、トリップしたとバレないようにしよう!
身分証明書、ましてや警察手帳を見られたら一発で怪しまれるから、絶対に見られちゃいけない。
肌身離さず持てるように、首にかけられるようなものを買ってくるかな…
あとは、連絡手段がほしいから携帯はほしい。
今、携帯を買うお金まではない。
バイトをして必ず返すということで、お願いするしかないかなぁ
あと、手帳も燃やすとかしないと、警察だった事が丸わかりの内容だったから怖い。
いつか怪しまれて寝てる途中にこの部屋に入られて、見られたら気づく自信がない。
赤井さんはプロだから。
足音をたてないなんて、造作もないことだ。
早めに対策をしなければならないな…
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作者名:海扇 | 作成日時:2019年7月18日 17時