第十六話 ページ16
工藤邸へと戻り、夕飯の支度を始める。
赤井さんはまだ帰ってきておらず、借りている合鍵で工藤邸の家を開けている自分についニヤついてしまう。
だって、コナンくんの家に何事もなく入れる状況ってミーハーじゃなくても、ニヤニヤしちゃうでしょ(笑)
「ただいま戻りました」
『あ、沖矢さん、おかえりなさい』
「夕飯ありがとうございます」
『いえいえ、これぐらいしか手伝えることありませんから。もう少しで出来ますから、待っててくださいね』
沖矢さんは、私の料理を美味しいといって食べてくれた。
本音はどうかしらないけども、完食してくれたから多分不味くはなかったのだと思う。
食事中にバイトを始める旨などを伝えたが、快く承諾してくれて、ひとまず安心した。
いつまでここの世界にいるかは分からないが、当分は身の安全やら住む場所やらが確保出来たと思う…。
「Aさんは、お酒は飲めますか?」
『んん、どうでしょう…覚えてなくて…』
「その容姿なら成人はしているでしょうし、良かったら一緒にどうですか?」
『じゃあ、そういうことなら…少しいただきます…』
食後、他愛もない話をしながらソファでくつろいでいたら、沖矢さんが2つのグラスと瓶を持ち聞いてきた。
きっと瓶の中身はバーボンなのだろう…
グラスの中には既に氷が入っており、沖矢さんが優雅な所作でバーボンを注いでいく。
「では、乾杯」
『か、かんぱい…いただきます』
口に含み、喉を通っていく液体。
喉が一瞬にして熱くなるのがわかった。
これは絶対、ロックで飲むものじゃない(笑)
沖矢さんは、余裕な表情で、いつものように微笑んでいた。
強いアルコールのおかげか、むしろ冴えた気がする。
この人、私を酔わせようとしているのか…?
くそ、潜入捜査官の血が滾るじゃないか(笑)
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作者名:海扇 | 作成日時:2019年7月18日 17時