恋風乱舞 2nd【ars M.A】 (ページ8)

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43.ユウ・カイ。ページ8

部屋に戻ると、胸に枕を抱いてるAちゃんがこっちを見た。

「あ...えっと、Aちゃんはパジャマある？」
「パジャマ...ってゆーか、部屋着は持って来ました...」
「そっか！うん、分かった」

ちょっと俺のTシャツ貸してあげよっかなーとか思ってたんだけど。
だって女の子がダボダボのTシャツ着てるのって可愛いし。
その上、下に履いてるのが短パンだったりしたら最高だよね！

そんなAちゃんも見てみたいなー...なんて。

「お風呂、先に入ってね」
「え！？先輩のおうちなんだから、先に先輩が入って下さい！」
「えっ！？そこはお客様からだよ！」

本当は変な毛の心配をしてるだけなんだけど。

「あ...ねぇ、そう言えばさぁ」
「はい」
「今日のお泊り、ご両親許してくれたの...？」
「あ...それは...」

Aちゃんがちょっと気まずそうに目を逸らす。

「もしかして、内緒？」
「......」
「大丈夫...なの？お家の人、心配してるんじゃないかな...」
「それは大丈夫です、お泊りするのは言ったから...」

お泊りするのは言ってて、じゃあ何を言ってないんだろう？

「トモちゃんちに泊まるって言って来ました...」
「あ...ごめん、嘘つかせちゃったんだ」
「あぁっ！嘘って言うか...最初は正直に言おうと思ったんですけど、恥ずかしいし...」
「うん」
「......ダメって言われたら...イヤだしと思って...」

Aちゃんが隣に座った俺を見上げ、すぐに俯いて

「お泊り誘って貰えて嬉しかったから...」

小さな声で言ったその言葉に、俺の胸はドンって殴られたみたいにちょっと痛んだ。

「俺も嬉しいよ」
「......」
「でも、やっぱ嘘つかせちゃったのは悪いから...俺、ちゃんとおばさんに謝りに行くよ」
「先輩......多分、お母さんも怒らないとは思うんですけど...」
「別に怒られても良いよ、ずっと嘘つくよりは」

だって俺、嘘下手だし。
いつかポロっとボロが出そうだから、自分から正直に言っておきたい。

それに、嘘ついて気持ち良い事なんて絶対に無いもん。
Aちゃんにそんな想いさせ続けたくないし。

「何て言おうかなー。『大切なお嬢様を一日お預かりしました』？何か誘拐みたい？」
「フフッ、ちょっと誘拐みたい」
「でも本音としては、さらいたいからなー」
「えっ...先輩...」

いつだって狼は可愛い女の子をさらいたいって思ってんの！

ガオー！って襲おうとしたら、お風呂のお湯が溜まったってお知らせのチャイムがピローンって鳴った。