恋風乱舞 2nd【ars M.A】 (ページ4)

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39.ウミ・フタリ。ページ4

タオルがはだけちゃって、Aちゃんはアワアワしてるけど

両手を俺が握っちゃってるからどうにも出来なくて、俯いて「やだー」って首をブンブン振ってる。

「やだ？」
「......」

しゃがんでAちゃんの顔を覗き込むようにすると、唇をギュウって噛んでちょっと泣きそうな顔。

「そんなに、やだ？」
「...だって...」
「恥ずかしい？」

コクン、頷く。

「そんなに可愛いのに？」

俺が言うと、ビックリしたみたいに顔を上げた。

「その水着、すっごく似合ってるし可愛いのに」
「......」
「あ。じゃあ、これでちょっとだけ恥ずかしくなくなるかもよ？」
「え...？」

俺はかけてたサングラスを外して、そのままAちゃんに掛けてあげる。

「どう？何か、ちょっとだけ大丈夫な気がして来ない？」
「...何か...大丈夫かも...」
「でっしょー？サングラス掛けたら大胆になれちゃうんだよ！雅紀の魔法！」

アハッ、って笑った彼女をグイって引っ張って立たせる。

「サングラスの魔法じゃないんですか？」
「違うよ？俺が掛けてあげたから、大丈夫になったの！Aちゃんには雅紀の魔法だけが掛かるようになってんの」

キザー！いや、むしろ、バカー！
もう自分でも笑っちゃう。

Aちゃんもケラケラ笑って、水着はもうすっかり平気っぽい。

「海、入ろっか！」
「はい！」

手を繋いで波打ち際まで歩いて、水に足を付けて「ぬるい...」って、また笑う。

スポっと浮き輪をAちゃんの身体に通してあげて、沖の方まで引っ張ってあげる。

「先輩は浮き輪いらないんですか？」
「俺、泳げって言われたらあっちに見える島までだって泳げるよ」

俺に運動神経を人並み以上に与えてくれた母ちゃん、ありがとう。
もう少し賢ければ...なんて贅沢は言わないよ。

プカプカ、Aちゃんの入ってる浮き輪に掴まって海に浮かぶ。
彼女の掛けてたサングラスを外してあげて、また自分の頭に乗せる。

「気持ち良いねー」
「はい...寝ちゃいそう...」

目を閉じるAちゃんに「寝ちゃダメだー！」って言いながら

キスをする。

「...っ！？」
「フフッ、寝たら溺れるから起こしたげる」

ビックリ顔してるAちゃんに、もっかいチュー。

「先輩...」
「ん？」
「...明日の朝も、起こしてくれますか...？」
「明日の朝って...えっ！？」

それって...

「お泊り...？」
「しても良いですか...？」

ちょっとぬるい海の中で、俺はウンウンって馬鹿みたいに頷いた。