恋風乱舞 2nd【ars M.A】 (ページ3)

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38.タオルト・ウキワ。ページ3

朝早く出て来た甲斐があって、海はまだそんなに混んでない。

海の家で着替えて、Aちゃんが出て来るのを待つ。

サングラスをヘアバンドみたいにして、ちょっと邪魔な前髪を上げるとオデコに風が当たって涼しい。

「先輩、お待たせしました」

背中に、声を掛けられた。
ドキドキ。

初水着！

失礼しまーす！！拝見しまーす！！

クルンと振り返るとバスタオルを肩から被って、てるてる坊主みたいになってるAちゃん。

「あれ？」
「......」
「タオル？」
「だって...恥ずかしくって...」

モジモジしてる。
可愛いけど、可愛いんだけどー...

「ねぇ。Aちゃん、とえあえず砂浜の方行こっか！」
「はい」

熱い砂浜を「あちっ！あちっ！」って二人で言いながらビーチサンダルで歩いて、レジャーシートを敷く。

そこに座っても、まだAちゃんはバスタオル被ったまんま。

そんな彼女にビニールバッグを見せる。

「何が入ってるんですか？それ」
「浮き輪！」
「ホントですか！やったー！」

実はリュックの中に用意して来てた浮き輪と、足でシュポシュポって空気入れるやつ。

前に翔ちゃんと息で浮き輪満タンにしようとして二人して頭クラクラになったから、今日はちゃんと仕入れておいた！
同じ失敗は繰り返さないっ！

立ち上がって、シュポシュポ浮き輪に空気を入れてる俺をニコニコ見てるAちゃん。

眩しいから途中で頭の上のサングラスを掛けて、またシュポシュポし始めたらAちゃんは何故かさっきよりニコニコした。

「ん？どしたの？」
「え...先輩、格好良いなぁと思って...」
「えぇっ！？」

海だから！？
海だから開放的になって、そんな事言ってくれるの！？

どうしよー、押し倒したいー。

でもいくら開放的になってるからって、それしちゃったら嫌われる。
こんなチビッコもたくさん居る朝っぱらの海岸でそんなコト考えちゃったってだけでも嫌われる可能性がある。

でも押し倒したいー。

このフラストレーションを、全力でシュポシュポにぶつける。

膨らんだ浮き輪をAちゃんに「できたっ！」って見せたら、パチパチーって拍手してくれた。

浮き輪を自分の肩に引っ掛ける。

「じゃあ、海行こ！泳ご！」
「えっ！？」

拍手してたAちゃんのその両手を掴んだら、パラリとバスタオルが肩から落ちた。

まだ焼けてない、真っ白な肩とさっきチラ見えしてた赤いトロピカルな花柄の水着に

あぁ、結局押し倒したい。駄目な俺。