恋風乱舞 2nd【ars M.A】 (ページ18)

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53.キヲ・ツケテ。ページ18

両手に買い物袋を提げて、お母さんを真ん中に挟んで3人並んで歩く。

「あのねー」

もうすぐAちゃんちって時に、お母さんが話し始めた。

「実は、気付いてたのよ。お母さん」
「えっ！？」
「だって、トモちゃんちに泊まる子のテンションじゃなかったもん、A！」
「ちょっ...ちょっと、お母さん！？」
「相葉くん、聞いてよ。Aったらねぇ...」

お母さんが何か言おうとするのを、Aちゃんがワーワー言って阻んでる。

「とにかく遠足前日の子供みたいだったから、絶対にこれは相葉くんトコに行くんだなって思ってたの」

そんなに楽しみにしてくれたの？
俺んちに泊まる事を？

うわ、やっば...めっちゃ嬉しい！

「ただ、Aは今後もずーっと嘘つくのかなぁって思ってたから言ってくれて良かった！」
「...うん...」
「正直に言えば、お父さんには内緒で許してあげたのにー」
「え...そうなの？」
「だからぁ、言ったでしょ？お母さんもA位の頃は彼氏とコソコソ遊んでたって！」

アハハって笑うお母さんの隣で、俺どんな顔したら良いのか分かんないから「んしょっ」って買い物袋を持ち直す。

「あ、相葉くん」
「えっ！？はいっ！」

まさか自分が話し掛けられると思ってなかったから、ビックリしてまた大声が出た。

「Aと仲良くしてくれるのは嬉しいし、相葉くんもとっても良い子だと思うの」
「あ...ありがとうございます！」

エヘッて笑っちゃう。

「でもお母さんはまだ、おばあちゃんにはなりたくないからね？」

ニッコリ微笑まれて、Aちゃんが「お母さん！何言ってるの！？」って慌ててて

「それだけは気を付けてね、家族計画！」って言われて、そーゆー事か！って気付く。

「はいっ！それはもう！男の責任ですからっ！」

力一杯応えた俺に、お母さんは大笑いした。

Aちゃんちの前で2人と別れて、1人で駅まで歩く。

その途中でスマホを出して、電話をかける。

「あ、もしもし。シュンスケ？」

電話の向こうでは、シュンスケが「何だよ、リア充！」って返して来る。

「あのさぁ、花火大会なんだけど」
「うん、それがどーした？」
「俺も一緒に行って良い？」
「え？彼女は？」
「友達と行く約束してるんだってさ」
「うぇーい、振られたー！」

何とでも言え！俺は『ウォーリーを探せ』するんだから！

「じゃ、ナナにも言っとくわ」
「うん、よろしくー」

電話を切って空を見上げると

もうすっかり、暗くなってた。