恋風乱舞 2nd【ars M.A】 (ページ2)

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37.ウソ・ミタイ。ページ2

「すっずしー...」

電車の中は冷房が効いてて、何なら汗で濡れた背中がヒンヤリする位。

Aちゃんは寒くないかな？って、彼女を見るとワンピースの首元から蝶々結びになったリボンが覗いてる。

赤っぽい花柄...？かな？
ヒラヒラーってしてる。

ジー...って見て、「あっ！」って声を出してしまった。

「え？何ですか？先輩」
「あっ...あー...っと...」
「何か...私、変ですか？」
「ううんっ！全然、変じゃないよ！変じゃないんだけど...」

Aちゃんが、ちょっと不安そうに首を傾げる。

「ここから出てるのって...」

俺は自分の首を指差して

「もしかして、水着？」

ニヤニヤしないように、訊いてみる。
訊きたいんだもん。

だって、テロテロでヒラヒラしてるもん！
下着じゃないだろうし、インナー？って言うんだっけ？それでも無いと思ったんだもん。

だとしたら、水着！
服の下に水着仕込んで来るんでしょ？女の子は。

「あっ......はい...」

やっぱり！
恥ずかしそうにAちゃんが「着替える時間が短くて済むかなと思って」って、笑った。

「俺も小学生の頃は夏休みのプールとか下に海パン履いてってたなー！んで、替えのパンツ持って行くの忘れんの！」
「えー！？アハハッ、そんな時はどうしてたんですか？」
「仕方無いよね、ノーパン！」
「うわー！スリリングですねー！」
「スリリングだよー！Aちゃんは、ちゃ...」

ちゃんと替えの下着持って来た？って冗談で言いそうになって、慌てて口を噤む。

だって、そんな事訊いたらお泊りの方を意識してると思われそう。
いや、意識してるけどね！？
でも焦ってるみたいじゃん。

お返事はAちゃんが自分で言ってくれるはずだから、それを待つんだ。
じっと我慢の子。

「え？ちゃ？」
「あ...ちゃんと朝ご飯食べて来た！？」
「はい、パンをお母さんが焼いてくれてたから」
「そっか！ハハハッ」

誤魔化せたー...。

でも、お泊り...どうなるんだろう。

朝ご飯、明日一緒に食べれるのかな。

首を捻って窓の外を眺める。

Aちゃんも、同じように外を見た。

電車に乗って、そろそろ30分。

「先輩」
「ん？」
「...嘘みたいです」
「嘘？何が？」

遠くに海が見えて来た。

太陽が反射して水面がキラキラ眩しい。

「先輩と海に行けるなんて、嘘みたい。一年前の私に教えてあげても信じてくれませんね」

君の言葉に、きっと一年前の俺も今のこの状況を信じないだろうなって思った。