百四十八 ページ48
『近藤さん、話があります』
その一言で姉御のところへ行こうとしていた近藤さんを呼び止めた。
いつもならどうした?なんて優しい声がかかるところだが私の目を見て別のことだと察したのか、踵を返して局長室へと足を運ぶ。
胡座をかいた近藤さんの向かいに正座をし、背筋を伸ばした。
「…その様子じゃ、いい話ではなさそうだな」
『察しの通りです』
中身は分かっていないが私の話すことが大事なことだというのは分かっているらしく、いつもの明るさはない。
空気が少し重くなった感じがする。
『単刀直入に申し上げます。真選組をやめさせていただきたいです』
そう言って差し出したのは退職届。
近藤さんの目は丸められていてその口も少し空いていた。
理由がわかっていない近藤さんへお祖父様と話したことを告げた。
それを聞けばその顔はまた真剣なものへと変わり、うんうんと頷いてくれた。
全てを話し終えればなんだか顔が見れなくて、私は視線を落とした。
「…お前が責任を取る必要はないと思うが」
『ですが、お祖父様をこれ以上苦しめたくはありません…』
「優しいなAは。昔から何一つ変わっちゃいねェ。純粋な女の子のままだな」
『大袈裟…』
「そのこと、トシや総悟には話したのか?」
首を横に振ればそうかと。
『二人には余計な心配かけたくありません、なので言わないで行くつもりです』
「Aの決めたことなら俺ァ反対しねェ。だが…後悔はしねェんだな?」
近藤さんの言葉に答えが詰まった。
後悔をしないなんて言ったら嘘になる、けれど今の私のすべきことはここにいることじゃない。
だから…
『もう覚悟は決めました』
そう言って笑った。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年10月13日 21時