紫苑をあなたに (ページ9)

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myzm.side

Aと不破くんがヒロトに連れられて鬼ごっこへ行ったあと、俺と明那は庭がよく見える所で女の子達とおままごとをしていた。

「灰くんはお母さんね！」
「分かった」
「受け入れはや」
「明那お兄ちゃんは…犬！」
「え？」
「ふっ…」

これを程の適任はいるだろか。
思わず頬が緩む。
本人は驚いてはいるものの、なんだかんだ嬉しそうにしている。

「ちょっとミサキ！宿題はやったの？」
「今やるよー！教えてれてありがとう！」

うちの子いい子過ぎない…？

普通の子だったら「今やろうと思ってたの」とか言いそうだけど…でもここにいる子たちは母親がいる環境を知らない子達ばかりだから…
それがこういう時は、プラスに考えられるんだろうか。

いや、そんな事絶対にない。
いくらいい子に育っても、母親の存在はどの子にも必要だろう。
それは、俺が一番分かってるはずだ

「わんわん！」
「どうしたのポチ？お腹すいたの？」

うわ…

20歳超えた大学生が、子供相手だとしても犬役をやってるのはちょっと…いや大分引く。
明那のキャラを知ってるからここまででとどまってはいるけど。

ガシャンッ

台所の方からそんな大きい音がした。
外を見ると、Aと不破くんはいなくなっていて、子供たちがレジャーシートを協力きて敷いていた。

「僕たちも飲み物飲もう。持ってくるよ」

明那にミサキちゃん達を頼んで、さっき大きな音がした台所に向かった。

台所に入る時、丁度Aが慌てて出てきてぶつかってしまった。
Aがよろけてしまったけど、不破くんが後ろで支えてくれていた。

「おっとと…大丈夫？」
「う、うん。ありがとう…」

少し顔を赤くしているAは、歯切れ悪くお礼を言った。

え？

「あ、ごめん…大きい音が聞こえたから」
「ご、ごめんびっくりさせて…コップ落としちゃって…」

Aは俺の顔から目を逸らしながらおずおずと言う

なにこれ、

「顔赤いよ。どうしたの」
「へっ！？あ、うん…！大丈夫！ちょっと暑いだけだから！！あはは！」

慌てて上擦った声をさせるAを変に思ったけど、その後に不破くんが「ぶっ」と吹き出してAがムッとしたように肘で小突いていたことの方が気になった。

2人って、そんなに仲良かったっけ？

なぜか怒っている自分に、気付かないふりをした。

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