紫苑をあなたに (ページ7)

今日:5 hit、昨日:13 hit、合計:31,161 hit

7 ページ7

.

台所に行き、トースターでパンを焼いて、簡単にオムレツを4人分作った。

大広間へ戻ると、子供達に囲まれている湊くんと明那くんが朝食を食べれずにいるところだった。
「みんな自分の所で食べて～」私がそう言うと、みんなは聞き分けよく「はーい」と言って自分の席に向かった。
湊くんと明那くんが困ったように「ありがとう」と言ってから、私が置いた朝食を食べ始めた。

「灰くん準備したら来るって」
「ありがと～」
「まゆ昨日も仕事やったん？」
「打ち合わせが長引いちゃったみたいで」
「大変やね～」

明那くんが私のオムレツを「うめぇー！」と言って頬張る
それに続いて、湊くんもオムレツを食べて「三ツ星やん」と言う

「褒め方雑すぎ」
「いやガチガチ」
「俺の中では百ツ星だよ」

明那くんがドヤ顔で言う。
それにぷっ…と吹き出すと、明那くんはまた「かわいっ！」と言った

「おまたせ」
「お！おはよ～！」
「まゆ～！」
「おはよ…」

まだ少し眠そうに、灰くんが私の横にストンッと座って、湊くんの横にあった灰くんの朝ご飯を私の隣に移動させた。

それを見た湊くんと明那くんが、なんだか不思議そうにこちらを見つめた。

「なんか、前より仲良くなった？」
「俺も思った！」
「え？」

思わず灰くんの方を見た。
灰くんは、「そう？」と言いながら興味無さそうにスクランブルエッグを口に運んでいる。

すこし、顔が熱い。

少し俯くと、横からの視線に気がつく。
灰くんが私の顔を覗いていた。

「どうしたの？」
「え、あ、ううん。なんでもないよ」

「そっか」と言ってまたスクランブルエッグを食べ始める灰くん。
頬張っててかわいい。美味しいのかな。

「…なに？食べずらいんだけど…」

頬に汗を垂らした灰くんが言う

やば、見すぎた…

「ご、ごめん。美味しいのかなって…」
「…ごめん言い忘れてた。おいしいよ」

少し言い忘れたくらいで、謝ってくれる灰くんにときめいてしまう。

あぁそっか。好きなのか、私

私、灰くんの事好きになっちゃったんだ。

「ど、どうしたの？2人とも…」
「んー？いやー…若いなぁ…」
「てぇてぇ…」
「「？」」

.