紫苑をあなたに (ページ6)

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「Aお姉ちゃんおはよ！」
「おはよー、みんな今日は湊お兄ちゃんと明那お兄ちゃん来てるから挨拶してきてね」
「「はーい！」」

ぞろぞろと寝室の方から出てきたちびっこ達が元気よく返事をして、嬉しそうに2人の方へ向かった。
「湊お兄ちゃん！」「明那お兄ちゃん！」とキャーキャーと騒ぐ姿を横目に見ながら、私は灰くんの部屋に向かった。

私の部屋の隣にある灰くんの部屋。
数える程度にしか入ったことがないけど、中はパソコンやら何やらでいっぱいだった。
だから、壊すのが怖くてあまり入らないし、子供たちにもあまり入らない様に釘を指している。

コンコン。とドアをノックしても反応がないため、ドアノブをひねる。

「灰くん」
「…ん…A、？」
「おはよう。湊くんと明那くん来たよ」
「……わかった」
「とりあえず朝ご飯食べてるから。灰くんはいる？」
「自分で用意するからいいよ」
「いや、灰くん遅くまで打ち合わせしてたんでしょ。それくらいするから、ゆっくり準備してて」

ベットに座る灰くんは、大きい目を擦ってすごく眠そう。何時まで起きてたんだろ…

私が心配そうに見ているのがわかったのか、灰くんは「大丈夫だよ。今日はお昼寝あるし」と、どこかで聞いたことあるセリフを言いながら私の頭を撫でた。
ふわっと灰くんの匂いがした。
昔から変わらないこの匂いは、いつも私の胸を安心させてくれる。

でも最近、この匂いがすると心臓が飛び跳ねているようにうるさくなる。

「数学、自分で頑張ってみる…」
「…Aが最初から分からないって言うことないじゃん。頑張ったけど分からなかったんでしょ」

灰くんと話してると毎回こうだ。
だいたい私が図星をつかれて喋れなくなる

「でも…」
「Aはそんな心配しなくていいんだよ。」

その瞬間だけ、いつもより表情が柔らかくなった。いつも、ちびっこ達に向けるあの優しい笑顔。

それに胸が締め付けられる。

「子供扱いしないでよ」
「別にしてないけど」
「してる。」

灰くんは私の事、子供としか見てない。
だって、7歳も離れてるんだから

「じゃあ、準備出来たら大広間来てね」
「うん」

そう言い残して、私は灰くんの部屋を出た