紫苑をあなたに (ページ4)

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「Aねーね！」

幼稚園に今朝送り届けた子達を迎えに行くと、私に気がついた途端大急ぎでこちらに走ってきた。

「今日もみんないい子にしてましたよ」
「ありがとうございました」

みんなが靴を履き替えたりしている間に、先生からみんなの様子を聞いた。

ケイタくんは、ブロッコリーが苦手で、食べようとしてくれない。とか
ハナちゃんが昼休みに転んじゃったけど、泣かないで我慢できた。とか

軽くスマホでメモを取って、先生にまたお礼を言う。

「じゃあみんな行くよ～」

幼稚園の門を潜りながら、みんなで先生に手を振った。

「おかえり」
「灰くん、ただいま。今日は配信ないの？」
「うん」

先に帰ってきていた小学校組と遊んでくれていた灰くんが、私の通学リュックを持ってくれる。

「明日はみんな休みだね」
「灰くんも？」
「うん」
「じゃあお手伝いお願いしますよ～。休日は大変だから」
「うん、いつもありがとう」

休日は子供達が学校や幼稚園に行かないから、施設内でみんなの遊び相手や勉強を教えなきゃならない。
現に、私も今課題に追われている。

「あ、明日の夜とか勉強教えて欲しいんだけど…」
「いいよ。なんの教科？」
「数学」
「ずっと苦手じゃん」
「数学とは一生分かり合えない」

私の部屋に着いて、灰くんからリュックを受け取る。

「あ、そういえば明日…不破くんと明那が来るよ」
「え！そうなの！結構久しぶりじゃない！？」
「そうだね。まぁ俺はそれほどでもないけど」
「楽しみ！」
「うん」

灰くんが珍しく微笑む。
やっぱり、2人のこと大好きなんだな。って改めて実感する

「…じゃあ着替えたらみんなの遊び相手よろしく。俺ちょっとだけ打ち合わせあるから」
「はーい」

遠くで聞こえる楽しそうな子供達の声を聞きながら、せかせかと準備を始めた。

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