紫苑をあなたに (ページ18)

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子供たちをお風呂に入れて、眠らせた後、湊くんと明那くんは家に帰った。

「じゃ！おやすみ〜」
「また来るわ！」
「うん！ありがとう！」
「おやすみ」

パタン。と施設の扉を閉じる。

「…」
「…」

暗い玄関に虫の音が響く。

夕方ぶりの2人っきり。
なんとも言えない空気が流れた

「…私達も寝よっか」

早くその空気から逃げ出したくて、灰くんの目を見ずにそう言った。

「あ」

少し大きめのボリュームで言った灰くん
少しびっくりして肩が跳ねる

「線香花火、してないよ」
「あ…」

まだ残っていたふたつの線香花火

夕方に線香花火で勝負をしようって言ったこと、覚えててくれた。

「きれー…」
「うん」

Aの大きな瞳に線香花火の光が反射して、宝石のように輝いていた。
綺麗な黒髪は、サラサラと音を立てるように揺れる

「A」
「ん？」
「昼間のことだけど…」

俺がそう言うと、Aはビクッと肩を跳ねさせた。
その衝撃で、線香花火が落ちる。
俺のはまだ付いたまま

「…Aは家族的な意味って言ってたけど」
「あー！落ちちゃった！次のつけるね！」

焦っているように見えるAは俺の話をどうにか遮ろうと必死になっている。

「俺は、Aの事好きだよ。」

ピタッとAの動きが止まった。

「女性として。」

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