紫苑をあなたに (ページ16)

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「まゆ～！網セッティングしてもOK？」
「…」
「…まゆ？」

中庭で炭の用意をしてくれてるまゆに話しかけたら、まゆの返事が無くて、どっかを一点に見つめてるみたいだった。

「あぁ…ありがとう。じゃあ…」

やっとまゆがこっちに気づいて、俺も興味本位でまゆが見てた方を見てみた。

「え…まゆって」

その先には、楽しそうに話してるAちゃんとふわっちがいた。

「Aちゃんのこと好きなん？」

俺が躊躇いもなくそう聞くと、まゆはピタッと動きを止める。

「23歳の男が、女子高校生好きになるって冷静に考えてやばいでしょ。」

何かを飲み込んだみたいだった。
まゆは直ぐに「取り皿と箸と…」って、もうこの話をしないで欲しいと言わんばかりに話を切りかえた。

でも、俺は納得行かなくて食ってかかるように

「おかしくないでしょ」

って言った。

「…」

まゆはしばらく何も言わない。でも俺から何か言うのも違うなって思って、俺も何も言わない。

「どうしたらいいんだと思う？」
「…？」
「23歳の男が、女子高校生のこと好きになった時、どうすればいいの」

そう言ったまゆの声は少し震えてた気がした。

「え！Aちゃんもまゆのこと好きなの！？」
「自惚れじゃなければ、多分ね」
「な、え！こ、根拠とかあるん？」
「さっき好きって言われた」
「えぇ！？」
「怖くなって、「どういう意味で？」って聞いたら、目を逸らしながら「家族的な意味で」って言われたけど…」
「両想いじゃん」
「…そうなんだけど、俺としては…」

まゆがぼーっとAちゃんの事を眺めていた。凄く優しい顔をして。

そうだ。この顔。
Aちゃんのことになると、まゆは直ぐこの顔をするんだ。
これは、妹としてとか、そういうんじゃなかったんだ。

ちょっと、いやだいぶ嬉しい

「せめて高校卒業するまで…」
「Aちゃん可愛いから同級生とかに取られちゃったりするかもしれんくない？」
「…」

嫌なんだ。

え、今のまゆめちゃめちゃ可愛くね？？？

「まゆ～！！！大丈夫だってそんなん気にしなくて！」
「いや気にしないとダメでしょ」
「えー！」

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