紫苑をあなたに (ページ12)

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「…終わった～！」
「Aって理解力はあるよね」
「"は"ってなに…」

灰くんはココアを飲みながら、背筋を伸ばす私を見る

欠伸をしてると、灰くんは思いついたように私に聞く

「そう言えば、不破くんと前より仲良くなった？」
「え？あー…ちょっと相談的なのをしててね。」
「ふーん…俺にはしないのに？」
「…え？今なんて？」

なんかその言い方って…

「不破くんには話せるのに、俺に話せないの？」
「…えっと、不破くんの方が適任かな？って思って…」
「適任って何」
「す、すごい聞いてくるじゃん…」

灰くんが、私が座っている椅子に手をついて、詰め寄ってくる。

サラサラと揺れる黒髪と青色のインナーカラー。
水色の瞳のハイライトが、キラリ。と揺れる

みるみると顔が赤くなっていくのを感じた。

「その…れ、恋愛…的な？」

"恋愛"そのワードを出した瞬間、灰くんの眉間にシワがよった。
こんなに感情を顔に出すなんて珍しい。

「……そうなんだ」

灰くんとの距離が離れる。

「う、うん…」

たどたどしく返事をすると、灰くんは私の空のマグカップと自分のマグカップを持って立ち上がった

「ココア飲んだから歯磨きしなよ」
「…灰くんもしないとダメだよ」
「俺はもうちょっと作業……いや、やっぱり一緒に行く」

灰くんは私の顔が曇ったのを察して、すぐに言い直した。
また言い合いになってしまうのを避けたんだろう

「ちゃんと寝る？」
「うん。寝るよ」
「そっか。」

洗い場にマグカップを置いて、洗面所に2人で向かった。
歯ブラシに歯磨き粉を付けて、二人でシャカシャカと並んで歯を磨く。

「ふふふ…」
「…なに」

クスクスと笑う私に、歯ブラシを咥えながら灰くんが言う

「小はいころ、いっしょにはみがきひてたことおもいだひて」
「…たしかに」

少し頬が緩くなってる灰くんを見て、私も嬉しくなる。
今日は、色んな灰くんの顔が見れて嬉しいな

そんなことを思ってたら、さっきの部屋での出来事を思い出す。

「…みみ、あかくなってる」

灰くんと鏡越しに目が合った。
少し意地悪そうな灰くんを見て、また顔が熱くなる。

「ここあついもん」
「…ふーん」

灰くんは変な誤魔化し方をする私を見透かしたように見た

「おやすみー」
「うん。おやすみ」

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