菫と果実《Kei.i》 (ページ35)

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・三十四ページ35

貴方「それ、菫さんも、、、」

女将「当然じゃ

これはわっちが教えた事じゃからのう」

貴方「え、？」

女将「わっちの受け売りじゃ

菫も可愛い妹に教えたのか」

貴方「菫、も？」

女将「あの子はわっちの可愛い妹じゃ」

貴方「え、」

女将「あんた達は本当にそっくりじゃのう」

そう言って笑う女将

私の目の前にいる人は

私の大切な人を育てた人

何となく納得出来た気がした

女将「ここの売れっ子はわっちの下におってな

菫も薊もわっちの妹じゃ」

貴方「わっちは菫さんにたくさんの事を

教えてもらいんした、

それは全部女将の受け売りなのですか？」

女将「さぁ？

でもきっとあの子はお前にも伝えたかったんだろうね

わっちが色んなことを教えるたんびに目を輝かせたよ」

少し懐かしむように微笑む女将

それはとても心地いい微笑みで見ていて幸せな気持ちになる

そしてわかる

この人はきっとここでは売れっ子であったのだろうと

そしてご当主が女将を選んだ理由も

女将「わっちもね、今は大切だけど

当時は当主じゃない間夫がいたんだよ

でもわっちは女将になることを選んだ

だから菫と薊に教えたんだ

我儘に美しく生きろと」

貴方「だから菫さんも、」

女将「可愛い妹には幸せになって欲しいもんだからね

お前なら小梅がそうだろう？」

そう言われて思い出す小梅との思い出

貴方「はい、

とっても、、、」

それは華やかで綺麗で

A太夫となってから唯一の美しい思い出

女将「わっちは応援しか出来んがな

ただ、もう菫のような子は見たくない

自分で、自分の思うままに生きれば良い」

そう言って私の頭を撫でて部屋を出ていった