・十七 ページ18
優しく私の背中に回った腕は
強く私を抱きしめた
慧 「なーにぃー?甘えたくなっちゃった?」
貴方 「ふふふ、どうでしょうね?」
慧 「えぇ、ずるーい!」
貴方 「甘えたいかはわからないけど
今日はこうしてたいです」
慧 「もっとずりぃー」
貴方 「私、何もズルしてません!」
少し慧様から離れ顔を見て抗議するものの
慧 「そーゆー事じゃねぇーの」
ってまた元の体制に戻される
慧 「ふふふ、ねぇ、話聞いてくれる?」
貴方 「、、っ!
はい!」
・
・
慧様はたくさん話してくれた
山田様の話が圧倒的に多かった気がするけれど
仕事での失敗も成功も
もう亡くなってしまわれたお父様のことも
たくさん
それに今はもう行方がわからないけど昔大好きだったお兄さんの話も
すべて楽しそうに
愛おしい想い出を語るように
それなのにたまにとても寂しそうな顔を見せた
その顔はどこか私と似ている気がして
“ やっぱり君と俺は似てるね ”
その言葉をふと思い出した
私が誰にも気づかれないようにしていたように
きっとこの人も隠し続けてるのかもしれない
慧 「それでね」
ほら、また、寂しそう
貴方 「無理、しないでください」
慧 「え、」
貴方 「話したいなら話してください
でも、無理して話す必要もないんですよ
誰にだって怖いことはあります」
慧 「、、、っ、
ごめん、ありがとう」
そう言ってあなたはまた私を強く抱きしめた
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作者名:いのみづちゃん | 作成日時:2017年8月29日 10時