・四十二 ページ43
慧 side
ここのところ婚約が決まって野次を入れる者も多くて
多少の悪戯などはあった
それでも怪しいものを捕らえたことはなく
その悪戯の犯人をやっと捕まえたと思い
すぐに門へ向かった
涼介 「慧様!大変です!」
門へ向かう途中、何故か青ざめた涼介がいて
慧 「悪戯の犯人でも捕まえたのだろう?
何が大変なんだ」
涼介 「それが________」
え、なんで
慧 「それ、ほんと?」
涼介 「はい、使いの者がそのまま殺そうとしたのですが
危ないところでした」
慧 「なんで解放しなかったの?」
どんどん早くなる足
心臓は落ち着かなかった
涼介 「慧様には婚約者もいます
申し訳ありませんがこれはあなたへの配慮です
婚約者がいても尚、他の女に構うあなたを見れば世間はもっと批判の目を向ける」
涼介の言うことは間違いじゃない
婚約者のお菊を傷つけては今進んでいる大きな商談だって無くなる
それは祖父が望んできたもので
やっと、父さんだって出来なかった
大きな商談
俺に家を継がせてくれた父親を裏切る事は出来ない
でも
涼介 「慧様!」
慧 「っ、なに、?」
涼介 「私は生涯、あなたの従者です
あなたに望む道があるならば
私は一緒に進みます
私はただ一人になろうとあなたの味方です」
そう言う涼介は珍しく真っ直ぐこちらを向いていて
もう小さい弟ではなかった
慧 「うん、ありがとう」
すぐそこ
その角を曲がれば辿り着く門
「慧様!」
久しく会っていなかった君は
慧 「A!」
見覚えのある簪をきらりと輝かせた
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作者名:いのみづちゃん | 作成日時:2017年8月29日 10時