・十 ページ11
慧 「嘘つき」
そう言って笑うあなた
ここ数年そんな優しい笑顔を向けられなかった
少し懐かしかった
とても似ていた
私の知っているその人に
目を細めてふにゃっと崩れる優しい笑顔
それは心が暖かくなる魔法の笑顔
貴方 「嘘なんて1つもついてません」
でもその笑顔に頼ることなんて出来るわけない
頼ってしまえばきっと私だって自由でいられなくなる
生きていけなくなる
だからその笑顔に
あなたに触れることなんて出来ない
あなたの心に触れることなんて
あなたに心を触れられるなんて
慧 「それも嘘」
貴方 「え、」
慧 「寂しそう
それに、苦しそう」
どうして触れてくる
私の心に
誰にも見せなかった心に
どうしてそんなに触れてくる?
なんで気づいてしまうの?
慧 「もう嫌だ
ここから出して」
それはあの日私が私の中に隠した思い
慧 「連れ出して」
もうやめて
それ以上言ってしまったら今まで積み上げてきたものが
固く蓋をしていた思いが
壊れて、溢れ出してしまいそうだ
慧 「助けて」
私は自分の思いが自分の中を駆け巡り
言葉がでなかった
声がでなかった
そして頭を抱えた
叫びたくても叫べなくて
それを何かにぶつけたくてもそんなことできなくて
自分が壊れていくようで怖くて
あぁーぁ、あの日から流したことなかったんだけどなぁ
ポロ________________
久しぶりに流した涙は溢れ出しては止まることを知らないようだ
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作者名:いのみづちゃん | 作成日時:2017年8月29日 10時