【オリジナル】重なる二人に運命を委ねてⅡ【派生/合作】 (ページ4)

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Episode24「デート中」【フランシィ・ロンドベル】ページ4

女が急に沙川さんを「彼方側」に引きずって行こうとした。どうやら気づいてしまったらしい。沙川さんのお兄さんが顔を顰めているあたり、ロックオンされた瞬間女の姿が見えるようになったようだ。
「ちょっとどうしてくれるんです先生」
「あれくらいならあっちにいる人狼くんがどうにかしてくれるって。大丈夫大丈夫」
そう先生が言った瞬間、ベスティアさんが女を引き剥がしにかかった。力づくでひっぺがし、
「悪いね沙川くん、ちょっと手荒な真似をするヨ…オイ受け取れ覚ッ！」と沙川さんを先生の方へ投げた。
「ハーイ獲ったどー。君も雑魚処理頑張れー」
米俵の担ぎ方で沙川さんを担ぐな三津語心よ。決して雑に担いでいるわけではないのは重々承知だけれど。
ベスティアさんは流石と言うべきか、何かよくわからない譫言を喚き続ける女を瞬く間に沈めて取り押さえた。ベスティアさんの戦闘能力が青天井を突き抜けているのはいつものことなので私と姉と先生は驚かなかったが、あの喧嘩を見せられて尚他三人は驚いていた。特に至近距離で見ていた佐々木さんの目の見開きようと言ったらなかった。
「はぁ…君さぁ、何処からどう見てもデート中の男にアタック仕掛けるのは間違ってると思うヨ。しかも物理で強制的に振り向かせようとするのは紳士にはナンセンスに見えるネ」
くすくすとベスティアさんが微笑した。そして、
「なあ覚、今回の件痴漢で通報って許されるかな？」と先生に問うた。
先生は沙川さんを抱えたまま「まあ思い切り色んなとこ触ってたしいいんじゃない？ついでに殺人未遂もいけそうだよねぇ」と答え、姉が警備の人を呼んで女は連れて行かれた。
そこで先生はやっと沙川さんを降ろし、「ね、人狼くん強いでしょ？」と笑った。

＊＊＊

もうそろそろパレードが始まる時刻である。結局他の地域には行かなかったが、大分楽しめた。全てはりんご飴とベビーカステラとたい焼きが悪いのだ。毎年何故飽きずに買ってしまうのか。
パレードが始まり、通りには大量の人で溢れかえる。…心臓が煩いが仕方がない。
「沙川さん、パレードではぐれないように手を繋いでおきましょう」
周りだって騒がしい癖にやけに心臓の音が聞こえやすかった。
例年通りパレードは大盛況で、ライラックちゃんも少し緊張しながらもネクロマンサー扱いして良いのかと思えるクオリティの音と光のスペクタクルを見せてくれた。
「…誘いに乗って良かった」と、隣で沙川さんが呟いたのが聞こえた。