【オリジナル】重なる二人に運命を委ねてⅡ【派生/合作】 (ページ6)

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Interlude「暑中」【ヘルディナ・ロンドベル】ページ6

先日夏祭りに行って、途中ハプニング等々ありながら無事に終了したわけだが。
何故此処までやってくっつかない。
妹よ、私はちゃんと聞いたぞ。引き戻した拍子に不意に手を繋いでしまい、慌てて離したと。その際顔が何故か熱くなったとも言っていたな。
いやはや数箇月前と比べれば大した成長だが、抑夏祭りというのは男女がくっつくイベントの最たるものでこの辺りで一度告白するタイミングである。見ているこっちからすればもうしてもいいと思うのだが流石に幼馴染でもないのにそれは無理があるか。
…とは思うのだが、矢張り傍目では焦ったくて仕方がないのである。
麗央さんに電話をかけた。
［もしもし麗央さん、少し二人きりでお会いしたいのですが宜しいでしょうか］
［おう、大丈夫だが…どうした？］
［見守り隊で会議でも…次の土曜日、お会い出来ますかねぇ］
［ちょっと待て、予定確認するから…一日空いてるわ、大丈夫］
［ではそこで。詳細は決まり次第メールで］
思い返せば中々に素っ気ない話し方だった気がするが、一度電話を切ってしまった以上態々電話をかけ直して謝罪するのも野暮だろう。面倒だし。

＊＊＊

という訳で近くのカフェで喋ることになった。
「それでは第一回二人の恋路応援部会議を始めます」
「お願いします…なのかこれは」
頼んだダージリンティーを啜ると、釣られてか麗央さんもブルーマウンテンだったかのコーヒーに口をつけた。
「…で、議題は？」
麗央さんは既に判っていると言いたげな眼でそう言った。判っていても議題は議長発表である。
「…はい。本日の議題は『二人がくっつく素振りを見せてくれない問題』ですねぇ」「だろうな」
さも当然というように、彼は短く答えた。
「まあ話を続けますよぅ。少なくともうちの妹は何箇月か前よりは意識するようにはなりましたねぇ…それだけですけれど。」
「弟もそんな感じだな。でも俺らが出来ることっつってもなぁ…」
「ネットとかを見ても出しゃばるな、ですからねぇ…」
困ったもんだ、と麗央さんが溜息を吐いた。
「結局こっちは見守るしかねえってか…」
今度の溜息はほぼ同時である。だからと言って何かあるわけでもないけれど。
「でも焦ったくてしょうがないんですよぅこっちは！」
机をバンバン叩いたせいで紅茶をこぼしかけた。危ない。
「だよなぁ…どうする？さり気なく相手のこと訊いてみるっつーのは」
「それだ」
固い握手、再びである。