〈ver.旧〉【d!】ある兄妹の物語Ⅰ (ページ41)

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サッカー大会後の話。

「A王女様」

お兄ちゃんを家に寝かせて、公園のブランコに乗って遊んでいた。

…目の前に、見知らぬ男性が現れた。

『誰ですか?』

「っ…王女様、今戻しますね」

そう言った瞬間、記憶が頭に流れ込んで来た。

『とも、き…っ…』

「そうです、智希です。王女様」

『呼ばないでよ、その名前で。もう私は違うんでしょ?』

「…僕には王女様が必要でした。僕以外にも、四季王様や他の皆様…貴方を必要としていたのです」

何だか嘘っぽく聞こえる。

『…本当?』

「はい、本当です」

智希はニコッと笑った。

…嘘だ、智希は嘘を吐いている。

『(私の【真偽支配】が、“違う”って言っている…)』

【真偽支配】は、相手の言う事を“真(マコト)”か“偽(イツワリ)”か見分ける能力。

…こういう時しか、使う機会が無いけど。

(【究極支配】のお陰で、扱える様になった能力)

『へぇ…平然と嘘吐かないでくれる?』

「っ…嘘吐いてないんですけどねぇ」

『私の前では嘘を吐けない。何故なら…究極神だから。貴方も知ってるでしょ?』

「…はぁ、そうですよね。分かってました。貴女に嘘が通じない事」

智希は本性を表した。

…王女と執事の関係の時は、こんな人ではなかった。

もしかしたら、私と一緒に居る時も…

『(偽り、だったのかもしれない…)』

「取り敢えず…僕は貴方を連れて来る様、四季王様と冬王様に命令されました。なので、連れて行かなければなりません」

『断る…そう言ったら?』

「力づくで連れて行きます」

『そう、じゃあ…断る』

そう言った瞬間、智希は

「そうですか」

と、言って、此方に飛びかかって来た。

…智希と初の戦闘。

どんな能力を持ってるか分からない今、どう動けば良いのか分からない。

取り敢えず私はブランコから、瞬間的に降りて避けた。

『(この感じ…支配能力ではないな)』

なら勝てるかもしれない。

『【冬をある程度操る能力】、かな』

「流石ですねぇ、王女様」

『王女って止めてくれない?良くも勝手に記憶を消して、“貴方が必要”って嘘吐いて寄って来て』

「《ふざけんのも大概にしろ》」

突然人格が変わった事が分かった。

『(…健太?)』

何故か主人格に私が居る状態で、健太が主人格に来た。

そして、現在…主人格に、2人居る状態なのだ。

「《…はは、こうなったか。まぁ良い。この一件後、俺は成仏出来るだろう》」

…え?

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