〈ver.旧〉【d!】ある兄妹の物語Ⅰ (ページ38)

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次の日＿

今日はお兄ちゃんの部活＿サッカー部の大会の日。

どうやらゾム達も来ているみたいだけど…。

『(何処に居るんだ…?)』

お兄ちゃんの試合を見ながら、周りを見渡しているけど…見つからない。

『お!頑張れお兄ちゃーん!』

見事シュートを決めたお兄ちゃん。

だけど、試合に夢中になってるのか、私の方を見向きもしない。

『…』

その後もいくら応援しても、お兄ちゃんは素っ気ない表情しかしない。

喜んでる表情は仲間にしか見せず、応援している女子達には笑顔で返している。

『何でなんだろ…』

…私の事が嫌いになったとか?

鬱陶しかったかな…?

『…暫く此処を離れよ』

私はショックを受けて、その場を離れた。

「(…A)」

『はぁ、此処涼しいなぁ…』

暑い季節になって来てから、ずっと太陽の下に居るのは辛くなって来た。

此処なら日陰だし、お兄ちゃんも見えないし。

『良い場所見つけたな…』

草むらに座り込んで、落ち着かせる。

「…あら、何してるのかしら?」

『え?』

目の前を見ると、見知らぬ女子達が私を見ていた。

あれ、この人達って…

『さっき応援していた…』

「見ていたのかしら。…まぁそれもそうね。貴女も応援していたもの」

『えっと…何の用でしょうか?』

私は女子達のリーダー的存在の女子に話しかける。

「“お兄ちゃん”って呼んでいたけど、誰を呼んでいたの?」

『大島高広ですが…』

「あら!高広様の妹ちゃん!?」

高広様…この人達は、お兄ちゃんのファンクラブとか…?

「でもそうだとしたら、貴女…だいぶ劣ってるわね。高広様の妹じゃないみたい」

『は…?』

「見て分からない?高広様のスペックに貴女は似合わないわよ。本当に妹なの??」

完全に馬鹿にされてる。

恐らく、私がお兄ちゃんを応援しているのを見て、それに対してお兄ちゃんが素っ気なかったから。

そして、自分達は“家族じゃないのに笑顔を返されてる”っていうのを、自慢したいのだろう。

いわゆるマウントだ。

『…そうですか…でも、貴女達には関係無いですよね?似合うとか似合わないとか、貴女達が決める事ではないでしょう。何故突っかかって来るのですか?』

出来るだけ怒りを抑えようと、笑顔で対応する。

「だってぇ、貴女妹でしょう?普通妹なら、兄に笑顔で返される物じゃないのぉ?」

リーダー的存在の女子が言った時、周りの取り巻きの女子達は笑い声を上げた。

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