〈ver.旧〉【d!】ある双子の物語Ⅰ (ページ30)

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#18 ページ30

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「…」

フードを被っていて、顔が見えづらい。

急にそいつは、ただならぬ妖気や魔力を放った剣を持って、高速で走り襲って来た。

『くっ…!』

床に押し倒され、身体を思いっ切りぶつける。

上を見ると同じ年齢くらいの男が、俺の心臓に狙いを定めていた。

『止めろ…っ』

剣を素手で掴み、抵抗する。

手から血が滴る。

「何故抵抗するんだ。後、お前だけなんだよ」

『は…?死にたくねぇからだろうが…後俺だけって、何の事だよ』

「俺の声で分からないか?最近、従兄弟に会ったか?」

そう言い、悪魔の表情を浮かべる。

『もしかして…お前、風河(ふうが)か!?従兄弟…お前っ!!』

「おっ、やぁっと分かったかw」

俺は怒りばかりが湧いて来る。

『(今この状況で、俺が有利になる方法を探さなくちゃな…そうだ、アレを使えば…!)』

もう片手でお爺ちゃんが返してくれたナイフを取り出し、風河の居ない方向に投げる。

「何処に投げてんだ?馬鹿になったか?狂ったか?」

『馬鹿になったのは…』

俺は嘲笑うかのような表情で、風河を見る。

『お前の方じゃないのか?w』

少し力が緩んだ隙に風河を突き飛ばし、戦闘態勢に入る。

ナイフを大量生産させ、力を解放した。

「髪や目、翼が赤に…真の本気か…厄介だな」

『さーて…もうそろそろかな?』

ナイフが風河に向かって、飛んで行く。

風河は必死に避けている。

「危ねっ…!…ｶﾞｯ…!」

『ふぅ、命中したな。それ、一番強いナイフだ。腹に刺さって痛いか?』

刺さっているナイフを足で押し、風河の悲痛な声を楽しむ。

「い"っ…!」

『あはは…面白いなぁ…』

「お前…サイコパスかぁ?」

サイコパスの風河には、言われたくないな…。

ni「A…そんな事して楽しいか…?」

『楽しいですよ?だって、従兄弟の恨みを晴らせたんですから』

俺は兄さん先生にニコッと笑う。

「っ…」

誰かが走って来る音がした。

そして、頬を叩かれる。

『え…?』

「お前は…そんな奴だったか…?俺に“大丈夫、お兄ちゃん。僕が守ってあげる”って…笑顔で優しく言ってくれたじゃないか…」

何の事か分からず、唖然とする。

他の皆も同じだった。

『どういう事…?君が俺の兄…?…あっ!100年前…の話…?だったら、田川…友弥…?』

「そうだよ!お前は元春弥だろ!やっと思い出してくれた…」

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