【オリジナル】ある神様が、十個の力を取り戻すまで (ページ33)

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「『ご馳走様でした』」

俺等はご飯を食べ終え、片付けをしていた。

「…なぁ、A。ちょっと聞きたい事があるんだ」

皿洗いをしている時に、千都に話しかけられた。

『何だ?』

「俺が目を覚ます前、誰かと喋ってたか?」

『え…?』

「目を覚ます前、Aと懐かしい声の話し声が聞こえてさ…」

俺は皿を落としそうになった。

だってあの時千都は…

“「は?誰そいつ。記憶に無い」”

そう俺に言い放ったのだ。

『やっぱ、覚えているのか…?』

「…あぁ…あの時は悲しさから、アイツの事を忘れようとしたんだ。でも、覚えてる。名前も性格も声も…何故、死んだのかも…何もかも覚えている…」

『…』

千都の泣きそうな声に、俺は涙を堪えた。

俺だって同じだ。

アイツの何もかも覚えている。

『俺さ、千都が気絶してる間、アイツと話していたんだ』

「!」

『やっぱり性格変わってなかった。千都が壊した筈の街は、アイツによって守られたんだってさ』

「…はは、確かに変わってないな」

アイツは何もかも守りたくて、自身の能力で俺等を守り続けてくれた。

でも…“黒幕が分かった”と言って、俺等の目の前から姿を消した。

…流石に黒幕の行動からは、守れなかったんだろうな。

「ごめんね。僕が死ななかったら、守れるものはあったのに…」

『…言ったじゃんか。責めてないって』

「そうだぞ、–––––」

「覚えててくれてありがと、千都」

「そっちこそありがとうな」

「敵は既に会ってるよ。いつAと千都を殺しに来るか分からない。用心してね」

『当たり前だ』

「家族と–––––の、仇を取る為に」

「あはは、やっぱ頼もしいのは変わらないね。じゃあね、バイバイ」

『あぁ、またな』

「また会おうぜ」

本当、不思議な感覚だ。

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