【オリジナル】石化の魔眼を持つ少年Ⅰ (ページ8)

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8話ページ8

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玄関で靴を脱いできちんと並べ、葵の靴も脱がせて並べさせる。

葵は気付けば意識を失ったか寝ているか、どちらかは分からないが目を閉じていた。

どちらにせよ、体力的にも精神的にも疲れただろう。

僕は葵を抱き抱えたままリビングへと向かった。

「琴くん…葵をどうもありがとう、寒かっただろう」

ソファーに座っている葵のお父さんはそう言って、テーブルにココアを置いた。

季節関係無く、夜は徐々に肌寒くなる。

それを察して湯気の立った温かいココアを出してくれたのだろう。

『ありがとう御座います』

僕はお父さんの隣に葵を寝かせ、ソファーと向かいになるように床に座ってココアを一口飲んだ。

…ココアが温かいのは勿論、葵の家庭も温かった。

それは昔からそうだった、僕の憧れだった、僕の家庭は葵の家庭と正反対で温かい日など無かった。

そんな葵が僕に構ってくれるだけで、それだけで心が暖まる。

「何があったか、聞いてもいいかしら…？」

葵のお母さんは葵を抱え、ソファーに座った。

二人が葵を心配する中、僕は頷いて話し出した。

僕へのクラスメイトの対応、葵が僕を庇ってくれたこと、葵が何をされたかどうか…何もかも全て吐き出した。

両親は僕の話を聞いて辛そうな悲しそうな顔をするも、僕はそんな感情は顔に出ていなかった、いや、出せなかったが正しい。

「そ、そんな事が…」

「琴くんも、葵も、そんな目に……」

僕はココアをもう一口飲んだ、外からの冷気で若干熱さが消えた。

『…僕はもう慣れたので。…けど、葵の件は…僕は絶対に許せません』

葵の両親も、僕の眼のことは知っている。

だから石化させた男のことも言った、だが女子達は何も仕返していないとも言った。

「そうね…私は二人が心配だわ、どの件も許せない」

「そうだな、俺も全く同意見だ」

…ああ、どこまでこの二人は優しいのだろうか。

そう考えただけで……

「ちょっ、ちょっと琴くん？！」

「な、なんで…」

『…え……？』

「なんで、泣いてるんだ…？」

僕は、気付けば…涙を溢れさせていた。

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