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▲苦しい悪夢 川端side ページ9

__たす・・・・・・け、て







真っ白な空間を漂う1つの陰
私は頭を抱えて蹲っていた



__嫌だよォ、怖いよォ


ボタボタ涙を流しながら、そう声を絞り出す

周りは沢山の人の笑顔で溢れ返っていた

唯1人、私だけが泣いている。







【ねぇ太宰落ち、こっちにおいでよ】

幸せそうに笑いながら手を差し出すのは、嘗ての相棒


__嫌だぁ、怖いよッ


そんな言葉を耳に私はさらに躰を縮こませる


【私達と、幸せになろうよ】

沢山の笑い声が、鋭く私に突き刺さる



__駄目っ、駄目っ・・・・・・っ!


幸せを拒否する私は、何かに怯える子供のようで






__嫌ぁァァあアあアアッッッ!!



白と明るい世界を、拒否してしまうんだ。









────



「ぃっ!!、はぁッ、はぁッ・・・・・・」

夜中の2時に目が覚めたようだ



「ゆ、め、・・・・・・」

私はそう言い僅かながら躰を震わせ布団を握る




「怖い・・・・・・」


黒の壁、黒の家具。
どこを見ても黒、黒、黒。



そんな黒で埋め尽くされた部屋に、ポツンと独り


「痛い」


心が痛い



内側からドンドン溢れ出る感情は

恐怖と、焦りと、苛立ちと、憧れ


胃が抉られる感覚を脳に与え、吐き気をどうにか抑える



【幸せ】という単語に掛ける思いは、そんなものだった。



元相棒は幸せな日々を送っているけれど自分はどうだ?

そんな自問自答を繰り返し出てくる答えは住む世界が違うということだけ



時々夢に出てくるこの幸せな悪夢。


苦しくて苦しくて、どうすればいいのか分からなくなる。



頼れる人間なんていない
相談出来る相手なんて作れない

自分にあるのは自分だけだと言い聞かせ1人ベットに潜る



中也落ちなら力になってくれるかもしれない

助けてくれるかもしれない


元相棒へ求める声はそんなんじゃ駄目だと諦めた。




中也落ちの次に出てきたのは大嫌いな太宰治の顔
だが直ぐさま頭から消す


「あんな奴に・・・・・・言えない」


からかわれるかもしれない
真剣に答えてくれるはずが無いんだ


だけど、会いたくないのに何故かモヤモヤする




「・・・・・・眠れない」



布団から顔を出し意味無く窓の外を眺める。
色々考えすぎて頭の中がこんがらがってた



「もう、起きとこう」




何もかも、考えずに







考えることを放棄した私は、

弱い光を放つ月と星の光だけを眺めてた

★お裾分け 野上side→←★闇で散る花 中原side



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設定タグ:文スト , 双黒   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:祢々切丸007号&カルラ x他1人 | 作成日時:2018年4月1日 21時

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