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噺、14 ページ14

船の上。

私はぬいぐるみを手に倉庫の扉を開け、人虎を外へ__


バンッ


出したが、それをしたのは芥川さんだ

羅生門で引きずり出された人虎は、芥川さんに踏み付けられている


「・・・・・・っ」

嗚呼見てられない

聞き慣れた筈である人の苦しむ声


酷く、心にのしかかっていた



カチャリ


ニヤリと芥川さんが私を見て口角を上げる




「武器庫から持出したか」

手に持っている拳銃を芥川さんに向け、

「彼を逃がして」

そう云った



「外の世界に触れて心が動いたか?」

バァンッ

一発撃った


でも躱された


「!」

銃口を斬られ首を掴まれる


「『どん底』を知っているか? 其処は光の差さぬ無限の深淵だ」

「無限の・・・・・・深淵」


「嗚呼。其処に有るのは汚泥、腐臭、自己憐憫
遥か上方の穴から時折人が覗き込むが誰もお前に気付かない 」

「っ、」

「ひと呼吸毎に惨めさが配を灼く 外でお前を待つのはそれ(・・)だA」


惨めさ・・・・・・か


「『夜叉白雪』は殺戮の権化 そんなお前がマフィアの外で普通に生きると?人虎、教えてやるがいい」

「!」

「誰にも貢献せず 誰にも頼られず 泥虫のように怯え隠れて、生きるのがどういう事か」





「殺しを続けろA マフィアの一員として」

あのね芥川さん__


「でなければ呼吸するな。無価値な人間に呼吸する権利は無い」




「・・・・・・そう、かもしれない」


私は・・・・・・


「でも、」


ボロボロ


鼻がツンとする。涙が溢れてきた







「 私 に は 、夢 が あ る」







「!」


ゴオォオォオオォオォオオ

「敦ィ!!」

「国木田さん・・・・・・!」


探偵社の人か。之で、人虎は助かる


「もう嗅ぎつけたか探偵社 纏めて膾斬りに__」



そんな事させない


芥川さんの邪魔をしよう


「今の内に逃げて この船は取引場所へは行かない」

涙が止まらない

でも、私は芥川さんを睨み続ける


「ならば何処へ行く」





今から行くの。貴方の云う__



どん底(・・・)

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もち(プロフ) - 言っちゃうの!?言っちゃうのか!? (2022年11月18日 16時) (レス) @page34 id: 6bb8b6637d (このIDを非表示/違反報告)
涼花凛娘(プロフ) - 更新とても楽しみに待ってます! (2018年7月6日 23時) (レス) id: ff189753ce (このIDを非表示/違反報告)
ももタ郎。(プロフ) - 読み易かったです。更新応援してます (2018年2月12日 0時) (レス) id: 0167944eb7 (このIDを非表示/違反報告)
Pleiades - すごく面白かったです続き楽しみにしてます! (2018年2月10日 21時) (レス) id: 59bc00af0b (このIDを非表示/違反報告)
うーたん - 更新頑張って下さいね (2018年2月9日 21時) (レス) id: e5cd3ad080 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:祢々切丸007号 | 作成日時:2018年1月27日 5時

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