【文スト】私が成りたかったのは彼女でなく彼【成り代わり】 (ページ2)

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噺、２ページ2

目を覚ますと、暗い、暗い空間に居た。

自身の躰はかろうじで見えるが周りは何も見えない

「どこ、ここ、、」

前に手を伸ばすが空を掴むだけ

じわり

なんだか胸の奥が熱くなった

ドクン

胸に何かが入った様な気がする

すると、目の前に光が差した

「眩しい」

吸い込まれて行く私の躰

抵抗せず目を閉じこの摩訶不思議な体験を受け入れる。否、何故か受け入れてしまう

ヒュゥヒュウ風が髪を通り抜ける
どこに向かっているのかも知らず、躰は流されて行く。

＿＿＿＿＿。

声が聞こえる。何だろう、なんて云ってるの

＿＿＿め＿な＿＿＿＿。

聞こえない

＿＿＿＿んな＿い＿＿＿。

＿＿ご＿＿＿さ＿＿＿＿。

「消え、た･･････」

小さな声は、結局私に何を伝えたいのか私が分からないまま消えてしまった。

「うあっ、」

ぐいっと引っ張られる感覚が私を襲い、足が地面についた感覚がした

ツン、と鼻に香るのは鉄の匂い
嗚呼之は知ってるぞ。血の匂いだ

着ている服は何だか窮屈。之、着物か

手には、釦･･･の感覚。折り畳み式の携帯電話だ

嫌な予感

ギュッと、瞑っていた目を開ける

「は、」

何だ、これは

このグロテスクな物体はまさか、人間か

私は人を殺めてしまったのか

«A、撤退だ。外へ出ろ»

急に携帯電話から男の声

撤退？それに何故此奴は私の名前を知っている

«聞いているのか。さっさと返事をしろ»

怒っているようだ。ここは潔く返事をして、後から私が立っているこの状況を知ればいい

「はい。ごめんなさい」

後ろの扉から出る。

嗚呼やはり分からない
何なんだこの人達

スーツにサングラスの怪しい人達

その人達に促され、大きな車に乗る

数十分間揺られ続け、止まった場所は大きな建物

怪しい黒服の人達が私を囲み歩くから私も歩く

私が着ているのは、赤い着物。こんなの持っていない

それに髪はお下げになってる。どういう事だ誰か鏡で私の全身を見せて欲しい

すると黒服の人達が急にバッ、と横へ捌ける

「ぇ、」

私はどうすればいいの。私も避けておいた方がいいの？

周りを見て混乱していると、

「愛しのAや。怪我はしておらぬかえ？」

前から、和服で綺麗な女の人が歩いてきた
この人も私の名前を･･････と言うか、愛しのA？

私はこの人と、知り合いでは無かったはずだけど･･････