No.9 ページ9
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とんでもない爆弾を落とした目の前の人。
あまりの恥ずかしさに、身体中の体温が全部顔に集まったみたいに熱くなった。今にも逆上せそう。
お腹なんて誰にも、、元彼にすら見せたことないから、
初めて会ったはずのこの人が、ホクロのことを知ってるはずがないのに。
『な、なっ、なんで、なんでそれを知って……』
「だってA、たまに風呂場から下着だけで出てくるじゃん。
その時に見えた」
確かにお風呂上がりで暑い時はそのまま出たこともあったけど、
イツキが興味無さそうにそんな私を見てた日もあった気がするけど、、、
いざ面と向かって事実を言われるとこんなに恥ずかしいもの?
穴があったら入りたいとはまさにこの事。
彼の顔が見れなくて、ずっと握りしめていた毛布を頭まで被った。
「ねえ、A」
だけど突然、抵抗する間もなく彼の大きな手が私の手に優しく添えられ、毛布を下げられた。
広くなった視界に映るその人は、ベッドの端から身を乗り出して、私の顔を覗き込んでいる。
「これで俺の信じてくれた?」
私の反応を窺う目の前の人。
その端正な顔を、私は初めてちゃんと見た。
私の顔を覗き込む、強い光のこもった目。
その周りを囲う長いまつ毛。
きゅっと結ばれた綺麗な形の唇。
朝日に透ける金髪。
そのどれもが、うちの子とそっくりな気がしてきて、
何より、イツキしか知らないようなことを彼は知っていたから。
『ほんとに、イツキなの……?』
思わずぽろりとこぼれた言葉。
それを聞いた彼……イツキは、
「だからずっとそう言ってるんだけど」
少しだけ目を細めて、柔らかく微笑んだ。
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作者名:熊猫 | 作成日時:2022年4月15日 18時