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No.6 ページ6











心細くて、訳が分からなくて、ぐしゃぐしゃの顔をした私とは違い、

彼は何ひとつ表情を変えることなくまた口を開いた。





「だから、その猫が俺なんだって」

『っ、!』


まだ冗談を続ける気なのかと、頭がカッと熱くなる。








「ほんとだから……信じて」


だけど、真剣な面持ちで念を押す彼に、私の方が間違ってるんじゃないかと錯覚しそうになる。










……確かにこの人がイツキなら、こうして入れるはずのない私の部屋の中にいるのも、猫のイツキがいないのも辻褄が合う。


だけど、猫が人間になるって、そんなおとぎ話みたいな話があるわけ、、、


















ただでさえ仕事終わりで疲れていた私には、多すぎる情報量。

この時、自分の脳はとっくにキャパオーバーしてたんだと思う。







突然ぐにゃりと部屋が歪んで見えて、あ、倒れる、と思った時にはもう遅かった。






ぼやけた視界の中、床へ吸い込まれるように身体が傾いた時



「A、!?」


私の名前を呼ぶ声がして、

大きな手が、私へ伸びてきた気がしたけど。





倒れる衝撃を感じる前に、私は意識を手放した。








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作者名:熊猫 | 作成日時:2022年4月15日 18時

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