150cmの誤差 (ページ5)

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No.5 ページ5

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よく見ると驚くほど整った顔をしているその人は、至極真面目な顔で私の様子を窺っている。

彼が、イツキ？

このイケメンは何を言ってるんだろう。

私がどんなに馬鹿そうに見えるからって、そんなあからさまな嘘に騙されるわけない。

だって、あの子は…………

『イツキはどこ……？』

そう言えば帰ってきてからイツキの姿を見ていないことに気付く。

一気に身体の芯が冷える感覚。

「ちょっと、おい……！」

冷静さなんてとっくに欠いていて、

目の前の人を放り出し、血眼になって部屋中を探し回る。

『イツキ、、イツキ、どこ……？！』

ソファの上にも、ベッドのそばにも、棚の隙間にも、

いつもはいないような場所にさえ、大好きな姿が見当たらない。

どうしよう。

あの子が……イツキがいなかったら私…………

不安と孤独が脳内をみるみると占拠する。

鈍く痛み始めた頭を必死に回転させた。

家を出る前、窓も玄関もちゃんと鍵は閉めたはず。

それに、勝手に出ていくような子じゃない。

だから、イツキに何かあったとしたら……この人。

『うちの猫は、どこなの？』

振り返って、彼を強く睨みつける。

さっきまでこの人のことを怖いと思っていたはずなのに、

いつの間にか震えは止まっていた。

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