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No.11 ページ11









あ、そうそう、



「猫の姿に戻ろうと思えば戻れるの?」






興味本位で聞いた質問だったけど、

さっきまで穏やかだったのに突然重く濁る空気。


それはイツキが座る左の方から流れてくるもの。




え。今の質問、もしかしてダメなやつだった?なんで?







慌ててイツキの方を見ると、彼は顔を背けたまま小さく口を開いた。


「……分からない。俺が人間になろうと思ってなったわけじゃないから、戻る方法も知らない」






それもそうか。

……もしかして、人間の姿が気に入ってるのかな。だから戻りたくないのかも。





『じゃあこれから2人で探していけばいっか。どう探せばいいかわからないけど』

「……ん」






未だ目は合わないまま、煮え切らない返事をする彼。

イツキが人になれば考えてることが分かるんじゃないかと思ってたけど、そう上手くはいかないみたい。



この空気に耐えきれなくて、必死で彼にかける言葉を探した。






『……人間でも猫でも、どっちの姿でもイツキはイツキでしょ』

「え、?」





ようやくイツキの大きな目が私を向いた。

ぱちりと瞬きをするだけで、羨ましいぐらい長い睫毛が揺れる。





『どっちにしろ手はかかるんだし、イツキの好きな姿でいればいいよ』


なんて、ちょっとカッコつけたことを言ってみた。







「……どう考えても猫のままが楽でしょ。何カッコつけてんの」

『あ、バレた?』



でもそういうイツキだって、そっぽ向いて隠してるつもりだろうけど 嬉しそうに口角上がってるのバレバレだからね。








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作者名:熊猫 | 作成日時:2022年4月15日 18時

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