No.78 ページ28
．
「で、どうなん？」
『怒ってはない…です』
「Aはお人好しすぎ」
『いっ、！』
結構強めのデコピンをされて、額を押さえる。
容赦ない……
すると急に反応がなくなって静かになる。
不思議に思って手の隙間から覗くと、視線を落として大きなため息をつく山彰さんの姿が見えた。
「まあでも……昔のアレ考えたら健太も拗らせるか」
独り言のようにこぼれ落ちた声。
"アレ"
私は山彰さんが呟いたその曖昧な言葉を無視できなくて。
あれって、、何だろう。
多分今の状況に少なからず関係があるってことだよね……？
胸の中がザワザワと波立つ。
詳しく聞こうとしたその時、裏口からノック音がした。
「お、来たかな」
山彰さんは何事もなかったかのように椅子から立ち上がって私から離れていった。
聞くタイミングを逃してしまい、開きかけた口を結ぶ。
「はーい」
山彰さんがドアを開けると、
「こんばんは」
「おっ、今日の送迎担当」
「実際送るのは俺じゃなくて慎ですけどね」
そう言って笑う壱馬さんがいた。
「ちょーっとだけ遠いけどよろしくな」
「いえ、兄さんの頼みとあれば何でもしますよ」
「頼もしいねえ」
ドアの前
山彰さんから私に視線を移して、様子を窺うようにこっちを見た壱馬さんの姿が、
─A〜。早く帰ろ
─オレ疲れた
記憶の中の健太と重なって、頭がズキンと痛む。
毎回不機嫌そうな顔で迎えに来てたけど、いつもそこ……壱馬さんの立ってる場所で待っててくれたなあ。
そうやって優しい記憶を思い出しても、自分の首を絞めるだけなのに。
「どうしたん？気分悪い？」
またグルグルと考え始めそうになった時、こっちに振り返った山彰さんの声で現実に引き戻される。
『あ、いや、、壱馬さんすみません。すぐ着替えてきます』
「……ゆっくりでええよ」
何か言いたげな壱馬さんに気付かないフリをして、着替えを持って逃げるようにその場から離れた。
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熊猫(プロフ) - コトリさん» 返信が大変遅くなってしまい申し訳ありません🙇💦以前からコトリさんの作品を読ませていただいていたので、コメントいただけたことにビックリしながらもとても嬉しいです！読んでいただきありがとうございました🙏✨ (2022年9月6日 12時) (
レス) id: 909b68a48b (このIDを非表示/違反報告)
コトリ(プロフ) - はじめまして。完結からだいぶ経ちますが作品読ませていただきました！ほんっとうにおもしろかったです…。宛書きですか？というくらいリアルで、脳内でドラマ化…。健太さんのクールな部分と柔らかい部分も読みごたえ抜群でした。素敵な作品ありがとうございます。 (2022年5月6日 11時) (レス) id: 16f707b051 (このIDを非表示/違反報告)
熊猫(プロフ) - ひなさん» コメントありがとうございます😭🙏✨色々伏線を張ってはいたものの本心まではたどり着けていなかったので、この番外編でお話できて良かったです😂最後まで読んでいただきありがとうございました🙇♀️ (2021年12月10日 21時) (レス) id: 0ec074764d (このIDを非表示/違反報告)
熊猫(プロフ) - Kazumiさん» コメントありがとうございます🙏✨自分の書いたお話でそこまで楽しんでいただけたかと思うと飛び上がるほど嬉しいです😭本当にありがとうございました！ (2021年12月10日 21時) (レス) id: 0ec074764d (このIDを非表示/違反報告)
熊猫(プロフ) - 余白のむらさん» 本当ですね😢余白のむらさんのコメントを拝見して、壱馬さんに別の素敵な相手が見つかるスピンオフがあっても良いかも…！と思いました☺️最後まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2021年12月10日 21時) (レス) id: 0ec074764d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：熊猫 | 作成日時：2021年9月9日 17時
