ステキな日々をお届けします。 (ページ16)

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「それでー？
　Aちゃんは、アツヤのどこを好きになってくれたの？」

牛肉と玉葱を炒める心地の良い音と同時に、キッチンから質問を投げかけられたA。
ソファーで寛いでいたアツヤは、先ほどまで触れていた自身のスマートフォンから瞬時に顔を上げて「はあ？！」と声を荒げる。

「……不器用だけど優しいところ、ですかね」
「ふふっ、それはどうもありがとう」
「……おい」

お前何を言ってやがる。
そんな形相でAを視界に入れ、キッチンで作業をする母親に聞こえないよう、小声で制止するアツヤ。しかしAは、何ともないよう顔でキッチンの奥を見つめる。

「これからもアツヤをよろしくね」どこか勘違いをしている様子の母親に、このまま放っておくと後に収拾がつかなくなってしまうことを察したアツヤは、いよいよ自分の言葉で真相を告げる。

「母さん、スノーボードの帰りにバス停にいたんだよ」
「え？」
「泊まる予定だった宿に行けなくて困ってた……西川、を拾ったんだよ」

――だから、俺らは母さんが考えてるような関係とは違う。

初めて彼女の名前を口にして説明を加える、アツヤ。
そして彼の言葉で、リビングとキッチン全体に再度静寂が訪れたのは言うまでもないだろう。

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