生きてるから明確に見てほしい ページ46
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「へー、サッカーを二人で」
観念したアツヤによって語られた、彼らの話。
幼い頃からサッカーを続けてきた二人は、今ではサッカー界の未来を担う優秀な選手へと育っているようだ。
今はすでに例の特番は終わり、話題は夕方のニュースへと変わったテレビを見つめながら、アツヤの話に相槌を打つ美琴。
「誇らしいお兄さんだね」
「……まあな」
どこか歯切れの悪いアツヤに、美琴は疑問を感じる。
仲が悪い……？
そう感じた彼女であったが、先ほどまで向けていた視線周辺からは、そう言ったことが全く伺えない。
彼女の視線の先＿＿木目調のテレビボードには、スキーウェアを着た幼い頃の彼らが笑顔を向ける写真が収められたフォトフレーム、その隣には近年撮られたと思われるサッカーウェアを着た彼らが『優勝』のトロフィーを真ん中に、小さい頃と変わらない満面の笑顔の写真が並べられている。
他にも写真は並んでいるが、どれも仲違いしているとは思えない程、写真の中の彼らは笑顔で溢れている。
温かい雰囲気の兄弟を目の当たりにした美琴は、冒頭の考えを即座に否定したのだが、ではなぜ苗字を隠していたのだろうか、そんな新たな疑問が浮かび上がる。
「……別に隠すつもりは無かった」
おそらく苗字のことであるのだろう。そう判断した美琴は、彼女の思考を透かしたようにタイミング良く告げたアツヤを、じっと見つめる。
「……ただ、名前なら比較されることはないって思ったんだよ」
しばらく手をつけていなかったグラスの中の氷が溶け、カランと静かに音を立てる。結露から滴り、コップの底にはいつの間にか小さな水たまりが出来てしまっていた。
ーーーーーー
アレスやオリオンのアツヤくんは、士郎を誇らしく思う反面、「あの吹雪の弟」みたいなレッテルが先行してて、それが少なからず癪に障っているのかな、なんて。
無印では一緒になること、一緒であることを望んでいたけど、生存している場合は「自分」の存在をハッキリと独立させていたいのかなって思いました。
＊＊＊
このエピソードは中編を予定しており、全部載せると長くなってしまうので
ここでの掲載はこれで終了しようと思います。
夢主の設定変更等はございませんので、この物語の続きが気になる方は こちら にて、最終話までご覧になれます！
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました！
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作成日時：2019年1月26日 11時
