わたしが選ばれた理由、それは３【オリオンの刻印】 (ページ40)

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いつか誰かの終わりの地ページ40

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「次は北ヶ峰、北ヶ峰」

程よく暖房の効いたバス内に響き渡る女性の音声。
ふと耳に入ったその音に急いで飛び起き、すぐ側の窓から見える外の景色に目を凝らす。すると、目に入ったのは山道を登るバスの速さに合わせて流れていく白い景色。

……こんなに山奥だったっけ。
昨日家で確認した旅館のパンフレットに載っていた周辺情報とは雰囲気の違う窓の向こうの雪景色。
いよいよ自分の行く先が心配になった美琴は、車内のダイヤを探す。

「え……？」

そこで漸く、自分以外の乗客が反対側の席に座る老婆１人だけであることに、美琴は気づいたのだった。

おかしい……。私たちが今晩泊まる宿はテレビでも特集されるほど人気沸騰中であり、予約が殺到しているような場所なのだ。だから現に今、待ちに待った予約の順番がうちに回ってきたところで、滅多に来れない北海道だというのに長期休みでも連休でもない通常の週末に旅行＿＿という中途半端な時期になってしまったのだ。
そんなトレンド真っ只中のスポットに向かうバスが、こんなにガランとしている筈がない。

珍しく、少々感情的なこじつけを心の中で行った美琴は、急いで手元に設置されていた『降りますボタン』を押す。

「次、止まります」

都内でも聴き慣れたピンポン、という音の後に続いた女性の声。

降りたら、とりあえずお母さん達に連絡しないと。
少々乱れた心中を落ち着かせるよう、美琴は外の風景へと視線を移し、そんなことをぼんやりと考えた。

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