今度お茶でもどうですか？ ページ25
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「いや、さっきのは気にしないで」
意図の読めないサタンは小さく笑う。彼を無表情に見つめていた美琴は「話はそれだけですか？」と少々冷たく振る舞う。彼女はペクとの一件があるため、あまり関わりたくないのだ。
すると、サタンは「ああ、突然呼び止めてごめんね」と彼女の態度を気にすることなく、ただ謝った。そして＿＿
「キミのプレイ期待しているよ」
再度秀麗な笑みを浮かべた後、自身のポジションへと戻って行った。
「お前、相手チームと知り合いかよ」
ベンチのすぐ側で、スクイズボトルに入った某有名な清涼飲料を飲みながら先ほどの彼女たちの様子を見ていた吉良は、水を差すように嫌味を放つ。すると、近くで吉良と同様に水分補給をしていた灰崎が続けて「類は何ちゃらを呼ぶってやつだろ」と更に水を差す。
「あの人と友達じゃないけど」
「はあ？さっきまで親しく話してたじゃねぇか」
「そう？」
「……相変わらずよくわかんねぇのな、お前」
行動と言動がちぐはぐな美琴に、灰崎と吉良は呆れた表情を浮かべる。一方で美琴は、二人の揶揄する言葉に大した反応を示さず、電光掲示板に映し出された選手交代を示す自分と吹雪のライセンスカードをじっと見つめる。
「さあ、今大会初出場であるDFの西川美琴！ライセンスに書かれている通り全くと言っていいほど公式での情報がない彼女ですが、一体どういったプレイを見せてくれるのでしょうか！？」
高ぶった実況の直後、サイドラインの近くで灰崎、吉良と会話を交わす美琴の姿が大きなディスプレイに映し出される。
「だとさ『兼備なディフェンダー』さんよ」
「……なに？そのニックネーム」
灰崎の茶化しを含んで呼ばれたその名前に、美琴は自分が映る画面から視線を逸らし、首をわずかに傾げる。すると、すかさず吉良が「ほんっと世間に興味ないのな」と再度彼女に呆れた顔を向ける。
「メディアでそう呼ばれてるんだよ、お前」
放送の通り今回が初出場であるはずの彼女だが、緊張した表情も見せないその顔に、カメラが遠慮なしにズームをしたことで、愛嬌とは程遠いどこか冷めた端正な彼女の横顔がめいいっぱいに映し出された掲示板を見ながら、吉良はさらに言葉を続ける。
「兼備って、メディアはどういうつもりでつけたんだか知らねえけどな」
「性悪とかの間違えだろ」
「そうだね、ゴッドストさんと悪魔さん」
「おまっ！」「呼び名のこと知ってんじゃねえか！！」
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作成日時：2019年1月26日 11時
