キミの手はきっと冷たい ページ3
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「おい！出てこい！」
『えっと、ヒロトがごめんね……？まるでチ.ン.ピ.ラみたいな脅し方だから怖いよね……？』
中々諦めない吉良に基山たちの方が折れ、柱の後ろに隠れた美琴をおびき出す作戦に出たようだ。
吉良くんのチ.ン.ピ.ラ言葉より、電話の人の言葉に従った方が良さそう……。
吉良とは違って緑川の人を気遣う優しい言葉に美琴は絆され、いよいよ彼らの前に姿を見せる。
「ごめん……」
「なっ？！お前か！！！」
「大丈夫ですよ、俺たちも人通りが多い場所でやってたわけですし」
『そうそう！気にしないで』
思いの外、彼らの暖かい歓迎に美琴は安心を覚え、基山たちに歩み寄る。
「基山くんの友人？」スマホスタンドによって芝生の上に立てられたスマホを覗き込むと、そこにはたくさんの人たちがいた。
……なんだか目がチカチカする。
スマホ内の色とりどりの髪色に美琴は目を凝らす。
『友人ではないな』
『友人よりももっと強い繋がり、かな』
「それって恋び＿＿」
「それはねぇーよ！！」
「……吉良くん耳元で叫ばないでよ」
「お前、真顔で恐ろしいこと言うから怖ぇんだよ！」
吉良に近い方の耳＿＿左耳を抑えながら美琴が真顔でブウを垂れると、吉良は負けじと言い返す。そしてそんな様子を、基山と砂木沼が眉を下げて静かに見守っていると、画面の向こう側で一連を見ていた南雲が「なんか…」とポツリと言葉を溢す。
『明るい……』
『確かに。選手紹介VTRとか雑誌の記事でもクールだし、もっと冷たい人かと』
「ははっ！たしかに。俺も初めはそう思ってた」
南雲、涼野の発言を聞いた基山は、顔に笑みを浮かべて言葉を続ける。
「でも、すごくいい人だよ」
＿＿ヒロトは気に食わないところがあるみたいだけどね。
言葉ではそう言いながらも、幸せそうに目を細める基山に、八神は「…良かったな」と彼女もどこか嬉しそうに言った。
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作成日時：2019年1月26日 11時
