きっとわたしは マリオネット ページ12
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「アジア予選第2試合 日本vsオーストラリア！
韓国を下し波に乗りたかった日本ですがエースストライカー豪炎寺の欠場が戦況にどのように影響してくるのか！？」
「……」
エスコートキッズと共に選手たちが入場すると、スタジアム中に響き渡る実況。
日本代表選手たちが作り出す列の最後尾を歩く美琴はどこか浮かない表情で、このまえの韓国戦のときとは別の小さな男の子と手を繋ぎ、大盛況な観客によって包囲されたフィールドへと入場する。
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「そんな中途半端だと いつか喰われるよ」
「最近の体調は、どうですか？」
「いつもは、髪下ろしているんですか？」
「気をつけて下さいね」
「首に何かなってたりする？」
「いやー？何もないけど？」
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ここ数日間の色んな出来事が絡み合い、頭の中でフラッシュバックする。
＿＿ズキンッ。
ほら、また＿＿＿＿。
今朝確認をしてもらった筈の首筋、そして『あの時』の右肩の痛み。
＿＿私の身に何かが起こっている。
今日までの出来事を思い返してみれば、必然的にそういった考えに辿り着くわけで。そしておそらく、『この現象』は決して良いことではないのだろう。
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「これからも私を疑い続けて。
きっとそれが、このチームが大会を勝ち続けるヒントになると思うから」
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だからあの時、イナズマジャパンの『頭脳』に
もしものときに、と伏線を設けたのだ。
＊＊＊
「いよいよ僕たちのデビュー戦ですね！」
円堂を中心にした試合前の円陣が組み終わり、スターティングメンバーが各々グラウンドへと足を運んでいく中、ベンチの前で呑気にもピッチ内の様子を眺めていた美琴に、かけられた声。
美琴は「嬉しそうだね」と隣に並んだ一星へ視線を滑らせる。
「俺の、小さい時からの夢だったんです」
「……夢、叶ったんだね」
「はい。」
どこか寂しそうに笑う一星。しかし、相変わらず他人に興味のない美琴は「じゃあ頑張らないとね」と呆気なく言葉を返し、再度ピッチへと視線を戻す。
「美琴さーん！」
「一星くん、先向かってて」
「はい！」
ベンチに座る趙金雲によって呼ばれた美琴は一言告げると、グラウンドに背を向けてベンチへと駆けていく。そして、そんな彼女の後ろ姿を見つめる、一星。
「今日は『一緒に』頑張りましょうね、美琴さん」
刻印が俺の言葉に共鳴する様に、チクリと疼いた気がした。
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作成日時：2019年1月26日 11時
