第８０話「お・か・し」 ページ35
それからしばらく喋っていた犬飼由紀が最後に
丁寧にお辞儀をしてから歩き始めた。
A「あ、猫居た」
栞「え！追い掛ける？」
A「あぁ、こっちに行ったと思う」←
栞がついていけるように、手を掴んで半ば無理やり
歩き始めた。
栞「ちょ、A君…」
顔を少し赤らめている栞。
風邪でも引いたのか？←
夏風邪は馬鹿が引くってな。←
A「栞、こっち」
栞「えっ、えぇ…？！」
犬飼由紀がクルリと後ろを振り向いて、辺りを
キョロキョロしていた。
栞を引っ張り電柱に身を寄せる。
由紀「…ま、気のせいよね」
犬飼由紀がそう呟くと、また歩き始めた。
電柱から離れると栞の顔が真っ赤だった。
…本格的な夏風邪だ…。←
栞「な、なに？A君。急に…」
A「いやゴメン。なんでもないから、行こう」
栞「う、うん…？」
栞の手を握り直して、尾行を続ける。
犬飼由紀の跡をつけていると、桜坂のブレザーを着た
氷道奏楽と話していた。
由紀「奏楽、なんでここに居るの？」
どうも待ち合わせしていたわけじゃないらしい。
奏楽「由紀。お前、髪に白滝ついてるぞ」←
由紀「うそっ？！」
なんて会話だ。
思わず笑い出しそうになった。←
つーか、それは避難の時「おかし」じゃないのか。
「お(押さない)、か(駆けない)、し(しゃべらない)」
が、
「お(お前)、か(髪に)、し(白滝ついてるぞ)」
になったやつだ。
さすが中学生。
考えることはまだまだガキだ。
由紀「ついてないわよ！」
奏楽「ハハ、悪い悪い」
由紀「まったく…」
怒った由紀が、途中で呆れていた。
栞「猫どこに居るのかな〜？」
A「さぁ、どこだろう…。あ、居たかも」
栞「え、どこっ？！」
しばらく話し込みそうだ。
栞を黙らせてこの場にいさせるためには…
栞には悪いがこれしかないと思う。←
あとでちゃんと謝ろう。
栞「A……君…？」
A「ちょっとこのままで」
栞「っ〜…」
すぐ側に居る２人の会話に耳を傾ける。
奏楽「鷲野澪、て奴。ちゃんと今日も話しかけたか」
由紀「話掛けたよ。ま、無視られたから脅したけど」
奏楽「お前なぁ…」
由紀「仕方ないでしょ！」
犬飼由紀の怒る声が聞こえる。
奏楽「あいつを利用して、裏社会に入りたいんだろ？」
由紀「…それは、そうなんだけど……」
…なるほど。
静かに俺は目を閉じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あまぐり(天樂) | 作成日時：2015年2月13日 19時
