第６５話「読唇術」 ページ20
理科室。
昨日と同じ位置に蓮が居た。
A「何か用ですか？」
泉「少し進展があってな」
そういう泉先生。
A「言っときますけど、俺この件については
関わる気は…」
言い掛けた俺を遮る泉先生。
ニヤリと笑ってるあたり、何か策があるんだろう。
泉「拒否権はねぇぞ？前に言っただろ、仮１つ」
A「………納得いかないけど、まぁいいです」
山田「昨日振りだな、蓮！」
蓮「…どうも」
画面に集中してこちらを向かずに返事をした。
泉「昨日の監視カメラに、例の鷲野澪が映っていた。
で、正直。蓮と同じ学校に居るには危険過ぎる」
A「そんなに？ですか…」
真剣な表情で泉先生が、１つの紙を出した。
写真がプリントされてるみたいだ。
そこには、鷲野澪という子と知らない制服を着た女。
山田「日本刀持ってるぜ」
A「この子は？」
泉「今、蓮が調べてる。監視カメラに映ってるのが後ろ
姿だからな…」
普通に考えて、仲間なのか。
そう思っていると、蓮が否定した。
つーか、毎回思うんだが相手の心理読み過ぎてないか。
蓮「仲間の可能性は０に近い。会話も内蔵されてるけど
仲良く見えなかった。
それに、鷲野澪はどうも感情任せに物事を決めるタイプだよ」
つまり、嫌いなら嫌いで絶対手は組まない？
蓮「そういうことだね」
A「心読み過ぎてないか」
蓮「……読唇術」
山田「あの心を読むっていう奴？！」
驚いた顔で山田が蓮を見た。
しかし、平然と画面を見ながら手を動かしていた。
泉「一般人だと簡単に読めるんだよ。
裏の人間だと、強い奴ほど心理が読めねぇが…」
A「鷲野澪に関しては」
泉「性格の問題だな」
隠した方がいいだろうに…
泉「で、蓮。魁はどうしたんだ」
蓮「魁なら仕事。私が頼んでおいた」
泉「なら問題ないな」
魁さんの扱い酷くないか。←
蓮「で、私は今回。直接動こうと思うんだけど」
泉「…て、わけだ。理解したか？」
山田「出来ない！」
A「理解したくはなかった」
俺がそう言うと、「決まりだな」と呟いていた。
蓮がノートパソコンを服の中に入れ、俺の手を
とった。
A「ちょ、どこに行く気だ」
蓮「中学校。私、影で見てるから道案内してもらって」
A「ま、まさか…？」
蓮「…鷲野澪に接触」
後ろから呑気な声で「頑張れよー」と声が聞こえた。
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作者名：あまぐり(天樂) | 作成日時：2015年2月13日 19時
